この2週間私たちはあることでもめている。

彼は7月初旬に帰ってくる予定で上海に出張に行った。
けれども彼の会社の上司が

7月いっぱい上海に居てくれ

とプロポーズしてきたらしく、私は自分の事は気にしないで上海に居たければ居れば良いと言い、彼は私が寂しがってるから予定通り帰ると言っている。

お互い一歩も譲らず話は平行線を辿っている。


>本当に予定通り帰ってくるの? もっと上海に居たいんじゃないの? 居てもいいんだよ。

<僕は仕事もテツコも両方大切だよ。 両立させたいんだ。 中国の仕事はそっちに居てもできることだからさ。僕もテツコに会いたいし、予定通り帰るよ。

>仕事と女を天秤にかけるんじゃないよ。 上海での仕事が楽しいって言ってたじゃない。 何度も言うけど、私がいるからやりたい仕事を蹴ったとか、嫌なの。  私なんてどうでもいいからやりたいことやりなよ。

<何で? テツコは僕に会いたくないの? テツコの言うことは矛盾してるよ。 

>会えるなら明日にでも会いたいさ。 私のためにとか、とっても申し訳ないんだもの。

<これは僕が決めたことなんだ。 テツコが申し訳ないとか思うのは変だよ。 会社の人にも言われたけど、僕らは付き合い始めて日も浅いし、2か月も離れてるのはよくないよ。 今回は予定通り帰るから。 そうしよう。 ね?


最近電話するとずっとこんなこと言ってる。

そりゃ、会いたいさ。 会いたくて会いたくてたまらないさ。 
でも、好きだからさ。 好きだから私のために自分を犠牲にしないで好きなようにしてほしいんだよ。

私の思ってることって変なのかしら。

恋愛って難しいや。
しばらくしたら電話がかかってきた。

>もしもし? テツコ?

<はい。なにかごようでしょうか。

>切らないで聞いて。 テツコ、本当にごめん。 僕はテツコより8歳も年上の大人なのに、テツコを泣かせて恥ずかしいよ。 すごく後悔してる。 

<さようですか。 それに、別にもう怒ってない。

>本当?

<うん。 あとでMCとSKに話すんだもん。 きっとSKに殺されるよ。

>はは、分かったよ。 あ、ひとつお願いがあるんだけど・・・

<何?

>あのね、僕は最低なことをしたし、MCとかSKにはいくらでも話していいよ。 

<? お願いって何?

>いや、だから・・・僕、今度テツコのお母さんに会うでしょ。 だから、お母さんにはこのこと言わないで。きっと心配するだろうし、第一印象が悪くなったらテツコも嫌でしょう?

<ふーん。分かった。 多分言わないよ。

>たぶんじゃなくて! お願い。

<ふーん。 たぶんね。 じゃ、またね。

>言わないでよ・・・。 じゃ、またね。



実を言うと、このときはもうそんなに怒ってはいなかった。

"私は酔っ払ったらフラフラ女の子といちゃついて、頭ではなくチン子で行動するヤツと付き合ってるんだった。"

そう思うと怒るのは筋違いな気がしてきた。
たかがキスじゃないか。 それに one night ならいいと言い出したのは自分じゃないか。 自分勝手なのは私の方じゃないか。 
怒ったことに対して後悔し、反省していた。 


自分の言ったことに責任持たないとね。



この間の日曜日、Sとチャットした。 日本は早朝6時、上海は早朝5時だった。えらい早い時間にログインしてるな。どうしたんだろ。

話しかけてみたらすぐに返事が着た。 しばらく話しているとかなり酔っ払っている感じが文章から伝わってきた。



>酔っ払ってる?

<うん、僕さっきまでクラブにいたんだ。

>へー。ワンナイトラブ?できた?

<ううん。それは流石にしてないけど、キスくらいならできたかもよ。 はは。

>まじで? 誰と? どんな感じだった?

<はは。テツコ冗談だよ。 僕眠いから寝るね。 また今度話そう。


・・・。怪しい。

その日の夜に電話してみた。

>ただいまより尋問を開始いたします。ワンナイトラブをしたら報告する約束でしたね。 どんな感じだった? どんな子? かわいい?

<だから、ワンナイとラブなんてやってないから。

>では、何をしたの? キス? フェラチオ? 

<いや、だから、軽くチュって、挨拶だよ。 ヨーロッパ人はみんなやるだろ。

>そんなこと知りません。 チュってして、そのあとは? トイレでフェラチオ?

<してないってば。

>貴殿には報告する義務がある。 正直に話しなさい。

<だから・・・軽くだよ。 deepなのはしてない。本当だってば。

>deepなのはしてない。ということは、どんなキスをした?どこに、誰に?

<あの、彼女の方からほっぺにチュってしてきて、僕その時すごく酔ってたし、テツコは僕の酒癖が悪いの知ってるでしょ? だから、そのあと、なんとなく唇に・・・

>ほう。 唇に。唇にあなたから進んで、自分からしたわけだ。 なるほど。 分かりました。

<え、テツコ、僕は別に彼女が好きとかそういう訳じゃなくてさ、なんとなく、酔っ払って・・・

>アンタなんか大嫌いだ! 


電話を投げ捨ててしばらくすすり泣いた。