露草は梅雨から秋にかけて路辺を飾る野の草。ツユクサと訓まれ愛されています。別名〈螢草〉とも呼ばれます。蛍の頃に咲き始めるからでしょう。

 

 もともとは、…付き草。この花を水に浸し淡い青色を布に移しとったところから、付き草。それがいつしか月草、露草、と名を変えていきます。このブルーを、縹色はなだいろ、と言います。

 

 

 

   別名の螢草、何といっても故葉室麟さんの小説『螢草』が記憶に残ります。

 事情があって武家の下働きになった娘に、奥方がこの花を螢草…と教え、娘を我が子のように接する。奥方が亡くなった後も娘はこの花を励みとし、ついには亡き父の宿敵を殿の御前真剣試合で打ち破る。そんな小説でした。

 

   

 

 しかしながらこの露草、俳句の世界では難物。実は秋の季語!秋の花となります。今の時分につい露草を句に詠みたくなりますが、露草の句を挙げるのは立秋以降ということになります。

 

 存続の決まらぬ地鉄螢草

 

 ツユクサの灯火残し逝ける友