春、猫の恋という季語もあります。戸建てに住んでいた頃は、夜な夜な猫の唸り声が聞こえる如月でした。ああ春だなあと思うもの、その唸り声でした。

 一説には、猫族が恋だなんだとやっているうちにお釈迦様の呼出しに間に合わず、真面目に一番にやってきた牛とその尻尾にしがみついていたネズミから十二支が選定、猫間に合わず、とも。猫がネズミを追いかける恨みはここにあり、とは俗説。

 

 猫の恋路地ありてこそふと淋し

 

 本堂までネコ点々点と春暮るる

 

 

 鎌倉の大寺光明寺、知る人ぞ知る猫寺です。慣れていて膝に乗ってきて寝てしまう輩もいます。境内のよく選定された盆栽のような桜も無骨な山門にミスマッチで可愛らしい。また桜の季節、特にその夕方、行ってみようかしら。



 

 ひそと咲く猫永眠る庭ヒヤシンス