今日は貝化石を紹介する前に鑑定の参考にしている書籍について話を聞いて下さい。
この二ツ沼産の貝化石は『大桑ー万願寺動物群』に特徴的な貝化石が多く、中間温帯に属するものと考えられているようです。
【参考にした 『図説 福島県の化石』】
こちらの図鑑を参考に『クロマルフミガイ』としましたが、千葉県産出の『クロマルフミガイ』と比較すると形状がやや相違しています。
先日『クロマルフミガイ』アップをしたのちに『大桑ー万願寺動物群』と云えば、最近、購入した『新版 石川の化石』と云う図鑑を思い出しました。
【新版 石川の化石】
この本には、大桑層から産出する『クロマルフミガイ』の近似種が幾つか掲載されています。
『ホソスジクロマルフミガイ』『ミョウガダニマルフミガイ』です。いずれの種類も放射肋数が多く、二ツ沼から産出した『クロマルフミガイ』とは違うようですが、殻の形状が円形で類似しています。何らかの関係があるのかもしれません。私が標本を所持していないため、比較が出来ないのが残念です。(>_<)
また、次回アップする『ナミジワシラスナガイ』や『ホクリクホタテ』は、この本から種名が判別できました。
まだ、採集に行ったことはありませんが、何時かは大桑層にも化石採集に行きたいと思っています。(^.^)
さて、本日は『エゾタマキガイ』です。
今日も他産地と比較をしていただきます!
和名 : エゾタマキガイ
学名 : Glycymeris yessoensis
殻長 : 51.15mm
殻高 : 45.12mm
産地 : 福島県双葉郡広野町二ツ沼
産出層 : 多賀層群 富岡層
時代 : 新生代 新第三紀 鮮新世後期
【他産地の同種との比較】
右側 : 多賀層群 富岡層 産出
( 福島県双葉郡広野町大字二ツ沼 )
中央 : 大桑層 産出
( 石川県金沢市大字大桑 )
左側 : 下総層群 上岩橋層 産出
(千葉県印西市大字吉高字仲村)
※ なお、大桑層 産出の『エゾタマキガイ』は、みたらしさんから頂いた化石です。
みたらしさん、ありがとうございます。m(__)m
とても参考になりました!(^-^)/
【殻の膨らみを比較】
右側 : 下総層群 上岩橋層 産出
中央 : 大桑層 産出
左側 : 多賀層群 富岡層 産産出
【靭帯面と櫛歯部の拡大画像】
【相違点】
二ツ沼から産出した標本は、他の産地と比較すると殻がやや薄く、膨らみが弱いようです。靭帯面や櫛歯については、大桑層産の櫛歯だけが大きさにバラツキが視られるようですが、たいした差異とは思えません。
次回は『ナミジワシラスナガイ』です。