ミニマムおじさんとDJ | キャベツは芯まで食べられる

キャベツは芯まで食べられる

「インディアンは嘘つかない」理由を考える

よくミニマルとミニマムを言い間違えるけど、大好きなおじさんがいた。
クラブでミニマルテクノを聴きながら、
ミニマルなミニマムおじさんは考えた。

「う~ん……だからさ、違うんだよね、ミニマルの意味がさ。
反復と差分とかさ、そう言った表面的な事ではないんだよね
……まあ、たとえば、ライヒがさ
ドラミングで打楽器だけでなく女性男性のオノマトペや笛で音色を並べて、
ひとつの調性で十分(条件)である事を証明しながら、同時に「楽器の為の」作曲であること……いや、
もしくは音楽こそ神(ユダヤ教)の真理にあたるから楽器群の為に楽典を供したのかも知れない……
その奇跡を生み出す楽器の為に楽典で示すことは、引き算して選んだミニマルな結果であって……
お、
なんか、ちょっと良くなってきたな
……なんだ?
なんだかこのビートの中になんか細かいビートが含まれてるぞ、
ヤバイ、これはヤバイ、
なんだか体が振動してきた
……ゆらゆらと確実な前進が混じり合う
……膨らむものを包み込む、
育む…………
ワケーのには分からんだろうな、
このあたりのアプローチがヤバいんだ」

おまえら踊らなきゃ損だぞとでも言う様に、
独り踊るおじさんを見ながらDJは考えていた。

「踊ってくれててすごく嬉しいけど、あの世代の人が踊ってるってことはやっぱ古いのかな。
他踊ってないし。
いや、
俺のDJが悪いんじゃない。
あの人が踊っているからフロアが冷めたんだ。
あの人のせいだ。
やっぱ、ダブステあたりにそろそろしようかな……
あの辺で話してる女の子たちが踊ったら、
おっさんが踊りながら若い子も踊るという感じになるし……
あの辺のグループも最初ノリ良かったから、
混じったらすごいことになりそうだし。
あ!そうだ、あの曲がいい!
あの曲はヤバい。
いやー!
おっさん、ありがとう……!思い付いたわ」

そうして、しばらく
2人だけの時間が続いた……。