ビデオ鑑賞(アバター、スタートレック、ウェイヴ、イントゥザワイルド、パブリックエネミーズ) | キャベツは芯まで食べられる

キャベツは芯まで食べられる

「インディアンは嘘つかない」理由を考える

友達のレイブパーティの帰りに
満喫でスタートレックを観て、
物足りなくて、
立て続けにビデオを借りて鑑賞。

順位は
① アバター
② ウェイヴ
③ イン トゥ ザ ワイルド
④ スタートレック
⑤ パブリック エネミーズ

だった。

ネタバレ気にせずに書くので、
未見で知りなくない人は注意して下さいね。

① アバター
映画に詳しい人からは酷評をされそうな作品。
だけど、個人的に気になっていることが
ふんだんにテーマとして取り扱われていたし、
エンターテイメントとしても楽しめたので
とりあえず1位です。

スピリチュアルな世界観を持つ異星の人種ナヴィと
植物ネットワークによる集合無意識をもつパンドラという惑星、
という設定が、
今流行のアセンションの世界観と被ってんなーと思った。

惑星ソラリスとかデューンとか、スカイネットとか、
昔っからのSFのネタなんだけど、
ナヴィの描写がイイ!から面白かったんだと思う。
ナヴィが勝利するのも、テーマからして良い結末。
普通はインディアンが白人に奪われて、
現代文明人の我々は未開に憧憬し、反省するという
絶望的な話でないのも救いになっている。

この映画の陳腐な部分は人類側の人物設定にあるんじゃないか?
例えば
いまから100年以上未来の話なのにも関わらず、
司令室でゴルフのパターの練習をする
リベラルで物欲マックスな資源採掘公社のイケイケマネージャーとか、
シガニーウィーバー演じる、
研究資金が出ている公社を無視して
平和、人権主義、エコに目覚め、情熱ある植物学者とか、
アバターを操ることになる単細胞の
脊髄損傷で車いすになった主人公の元海兵隊員とか、
不義に怒り公社を裏切るガンシップを操縦する女性傭兵とか、
ファイナルファンタジーに出てきそうな原住民ナヴィのヒロインとか。
予定調和なキャラクター達が予定調和なストーリーで活躍するという
活劇的な要素が批判の対象なんだろうと思う。

にもかかわらず
面白いのは何故かというと、
圧倒的なSF的世界観を、妥協せず、これでもかと見せてくれる映像や
完成度の高い(予定調和な)ストーリー、
陳腐だと言われようと、現代的な人物達が
途方もない問題に悩むんじゃなく、
むしろ、よく描かれる様な問題に直面して悩むところなんだと思う。

たまには
トールキンの指輪物語や、
スターウォーズのように、
ファンタジーの活劇だとして観たっていいじゃん、と思うんですよね。

② ウェイヴ
とにかくシナリオが凄い!
緻密に描かれる社会変革のシナリオが、興味を放さない。

ドイツの高校の実習で独裁をテーマに授業がされたのがきっかけで、
クラス、地域にまで全体主義的な組織「ウェイヴ」が広がって行く。
組織に属する者たちは、互いに違うもの同士が同志となって、
ひとつの力に結集する万能感に酔いしれ、
全体主義の危険な領域に足を踏み込んで行く様が、
なんとも、息を呑む。

これも、僕が最近、興味を持っている
「ソーシャルイノベーション」をテーマにしたものだと思ったから、
鑑賞しながら、考えっぱなしだった。
全体主義は否定するのはカンタンだが、
本作の様に緻密に描かれると
悲劇的な結末(しかもアメリカの実話がベース!)とは逆に、
肯定的な側面も見えてくる。

例えば、
ローカリズムを考えたとき、
人が居場所を求めてさまよっていると考えたとき、
パーティクラウドたちとオーガナイザー、DJやパフォーマーたちを集めて
より良いパーティを作りたいと考えたとき、

この全体主義が個人のインセンティブに触れて人を活かす過程や
見え隠れする保守主義の正当性を
改めて実感させてくれるし、
プラスに働くことも同時に想像できるのだ。

過程を描く映画ですごいって思った監督は、
リンゼイアンダーソンやラースフォントリアーがいたが、
僕にとっては、これも、そんな映画のひとつ。

できれば、
悲劇的な結末でなければよいと思った。
テーマは「独裁」というより、「全体主義」についてと言った方がいいかも知れない。

③ イン トゥ ザ ワイルド
この映画の物語の原動力は
「優秀な成績で大学を卒業した青年が、なぜアラスカの荒野に消えたのか?」
というもの。
これも1992年に起きた実話をもとにしたもの。
実存を追求する青年の、人物描写が堪らなくリアルで、
友人の顔や友人が起こした出来事の思い出が、
僕の脳裏に滝の様に降り注いだ。

謎もほったらかしにはしない。
最後まで見せてくれた映画だった。

ロードムービーは
旅したくなる年代の人達には
たまんなく面白い映画ジャンルなんだよねー。

④ スタートレック
昔、8ch深夜に放送してた「ネクストジェネレーションズ」が
スタートレックシリーズでも一番好きだが、
これは、その前の艦長、カーク大佐の、(パラレルワールドの)若き日の物語。
うーん、
いまいち。
製作者側が、キャラクターを大事にし過ぎちゃって、
人物でハメてくれないんだよね。

⑤ パブリックエネミーズ
題名で観てみた。
直訳すれば「社会の敵」だろうか。

そんな高尚なもんじゃなく、
ただのギャング映画。

非情に残念だったのは、
ゴッドファーザーのような重厚さが全くなかった。
人物に感情移入できず、あっという間に寝てしまった。

パブリックエネミーって
意味深な題名はないよな。
もっとつっこんで欲しかったな。
今は、マスコミがやたらパブリックエネミーを作る時代なんだから。

そういう落胆があって、
最下位です。
ちなみに
ギャング映画としても中途半端だった。




というわけで、
ひっさびっさに映画観ました。
3本も満足できたのは、
普段、娯楽に飢えてるから、かな。