婚約破棄という形であったが、すんなり受け入れて貰えたのは
今までHANAがどれだけRENを想っていたかが
航にも伝わったのだろう。
HANAの母、茉莉も
世間的には問題がある恋愛であっても
やっと本当に愛する人と結ばれることが出来た。
HANAは、何もかもが
思った以上に順調に進んでいる気がした。
御園グループの隠し子から
シンデレラガールと詠われ
航との婚約で更に注目を浴びたHANA。
結婚前の若い女性だけでなく
小学生までもが、HANAに憧れていただけに
HANAと航の婚約破棄のニュースは
否応なく注目された。
あることない事を
憶測だけで語られ
それがそのまま視聴者に植えつけられる。
HANAの株を落としたのも事実だった。
御園グループ以外からも
CMなどの仕事が入っていたが
それも、まるで波が引くように
一気に無くなってしまった。
HANAとしては
この海外ロケの数ヶ月間で
知らないうちに人気が出て
知らないうちに人気が落ちたという状況の為
さほど落ち込んではいないものの
自分の仕事は、世間の印象で
大きく左右されてしまうものなのだと痛感した。
こんな状況で
RENとの結婚を発表すれば
明らかに、RENまで人気が落ちてしまう。
Gさんも、菖兄さんも
二人のこれからは認めてくれたが
RENとHANA、二人の関係は
ごくごく内密にしておいた方がいいと
口をそろえて言った。
HANA自身、RENとの結婚を急ぎ望んでいるわけではない。
今、ようやく”恋愛をしていい関係”になれたことが
純粋に嬉しいだけである。
しかし、そんな事情は世間の誰も知らない。
今のHANAは、単に”お騒がせアーティスト”なのだ。
心配なのは、RENが代表となっている、事務所である。
その事務所に、HANAは所属している。
HANAの事で、事務所はてんやわんやであることは間違いない。
実際、HANAのマネージャーである清子が
一番辛い状況に立たされていた。
日本にいるRENにも、清子の辛い状況が良くわかっていた。
「HANAちゃんに会見をやってもらうべきです。」
清子は、帰国予定日になっても
日本へ戻らないHANAに苛立ちを隠せず
RENのマンションを訪ねていた。
「う・・ん。
そーなんだけどさ。
もうちょっとだけ待って欲しいんだ。」
RENは、HANAが帰国しない理由を
清子に伝えていなかった。
「社長!
HANAちゃんの事
大切にしているのはわかりますが
このままでは、事務所が!!
一体、何をどう考えてるのですか?
教えて下さい!」
いつになく感情的な清子に
RENはタジタジである。
「う・・ん。
今の清子さんの立場や状況的に
ちょっと教えるのはマズイかなって・・・。」
清子は、どんな感情が湧き上がったのか
その場に泣き崩れてしまった。
「・・・・清子さん。
コーヒー入れ直すよ。」
RENはキッチンへ行った。
「どうして・・・
・・・どうして
HANAちゃんなの?」
それはあまりに小さい声だった。
「えー?
なになに?
清子さん、今なんて?」
明るく聞き直すRENに
清子は反応しなかった。
なにやら清子はそのまま
ひとりぶつぶつとつぶやいている。
「私は・・・
あなたに憧れていたの・・・よ。」
清子はふらふらと
ソファから立ちあがり
RENのいる、キッチンへむかった。
「?ん?

どうしたの?
大丈夫だよ。
俺んちだし。
ちゃんと一人でおいしいコーヒー淹れられるって
」「武之内さんを想ったのは
あなたへの想いを断ち切る為よ」
「え?

清子さん?
何言ってるの?
ちょぃ待ちッ!

」「・・・・あなたも、HANAちゃんも無神経なのよ。
あなたは私を傷つけ
HANAちゃんは
私と、武之内さんまで傷つけた・・・。
ふ・・・ふふふ・・・・
うふふふふふふふ。」
清子さん?
怨霊
みたいになってるーーーー

「私ね・・・・
HANAちゃんの絶望した顔が見たいのよ。」
清子は、キッチン台上に並んでいた包丁を
シャラッと音を立て手に取った。
つづく 
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読んでくれてありがとう。
この小説は全て妄想です。

第一話はココから
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