言い忘れたことがあると 止まったまま
伝えそびれたことがあると
いつまでも 残ったまま
魚の骨が喉につっかえたみたいに
飲み込めるものも 飲み込めない
ごはんも喉を通らない
何がしたいのかも 分からなくなる
《過去》が《いま》に
成り代わり続ける、というお話。
「ライオン/25年目のただいま」
(あらすじ)
オーストラリアで幸せに暮らす青年サルー。しかし、彼には隠された驚愕の過去があった。インドで生まれた彼は5歳の時に迷子になり、以来、家族と生き別れたままオーストラリアへ養子にだされたのだ。成人し、自分が幸せな生活を送れば送るほど募る、インドの家族への想い。人生を取り戻し未来への一歩を踏み出すため、そして母と兄に、あの日言えなかった〝ただいま″を伝えるため、彼は遂に決意する。「家を探し出す―」と。
公式サイトより
↑このあらすじだけ読んじゃうと
大人のサルーから 話が始まっているように感じますが。
映画は 幼き日のサルーから始まる
回想シーン、というよりも
まるでオンタイムみたいな
5歳の子どもが見る世界が 目の前に拡がってる
夜の仕事をする兄について行き 見失う
降りられない列車に揺られる
言葉も通じない 見知らぬ土地
親切そうな人が笑ってくれる けど逃げる
頼りは 自らの生存本能だけ
幼いサルーに 安住の地を与えたのは
海を越えた遥か異国の地で
産まない決断をし 養子を迎えると決めた夫婦
優しく 受け止めてくれる家族は
安らぎをくれるけれど
そこには懐かしさはない
砂埃の舞う風もなく 懐かしい匂いもない
聞き慣れてた筈の 兄の声も 母の声も
この頭の中で 反響するだけ
…その昔、兄にねだり「いつか買ってやる」と言われた揚げ菓子を見つけ、口にして
彼は気づくのです
・・・今まで名乗っていた 出身地コルカタは 故郷ではないと。
ここは 安住の地ではあるけれど 大切な家族も恋人も いるけれど
ココロの安住は ここで暮らすだけじゃ
いつまでも得られない
周りからみれば《過去》と呼ばれる時間が
サルーの中ではずっと《いま》の顔して居座ってる
だから 見つけなきゃ いけなかったのですね
兄が 笑って手を振った あの場所を
ひとり走って帰った あの道を
懐かしい 家々の間の小道を
帰るから
安らげる場所に帰るから
また出ていける 進んでいける
「ただいま」の挨拶を 聞いているのは
誰よりも わたし自身なのだから。
・・・GW、ゆっくりと
ご自身の 言い忘れたこと
つっかえてること
見つけてみるのも一興ですね
それも、数の仕合わせ。
★★★☆☆
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