本物の友だちとビジネスは、近い ー「最強のふたり Intouchables」 | ​ 観るチカラを、生きる糧に。 ー SCREEN(私設)研究所

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観る映画が、あなたの、わたしの、人生のヒントになる。
ここは、SCREEN(私設)研究所。

潜在数秘術×映画で
「観る」ことと心の関係を
映画を通して読み解いていきます。


「最強のふたり」
原題は「UNTOUCHABLE」
直訳で「触れあえない人々」
インド最下層カースト(触れてはならない人々)の意味も持つ言葉です








|| 不採用=採用? ||



フィリップは 頸髄損傷で首から下が麻痺
生活には 常に誰かの介護が必要で 住み込みの新しい介護人を探している
そこへ黒人青年ドリスがやってくる



ドリスは 職に就く気まるでなし
給付が終わる失業保険を貰い続ける為だけに、紹介された面接を受けに来た

ただ 不採用のサインが欲しいだけ



『3件あれば 失業手当が出る』
『他に 人生の目的はないのか?』




フィリップとドリスの
初対面の会話がこれ



…自分に全く興味を持たない男の姿が
よっぽど強烈だったのか
フィリップは
何の資格も経験もないドリスを 雇うことにする



一方ドリスは

なんだか知らないが
来いよ言われたから来たぜ

くらいのゆるさで



住み込みの仕事にも
フィリップに対しても
何の気負いも気概もなし
・・・というか興味なし



興味を持ったのは
与えられた個室の
広々としたバスくらいw



『人に頼って暮らすのは 気が引けないか』
『そっちこそ』



・・・フィリップとの会話も
相変わらずフラットで

相手が車椅子だとか
腕が上がらないとか
まーーーったく気にしていない!





|| 同情を知らない男? ||




フィリップは
ドリスの粗野な振る舞いに
苦言を申し立てる友人にも

『それがいい』と笑う


 容赦ないところがいい
 彼は私の状態など気にせず 電話を差し出す
 私に同情していない



確かにドリスは
フィリップ好みの芸術や音楽には
ゲラゲラ笑い出し



文通相手からの手紙を取り上げ
番号を見つけると

なんでかけないの?とばかりに
フィリップの心の準備もまるで無視(!)
やおら彼女に電話をかけて
携帯をフィリップの耳元に押しつける





「彼の素性や過去など
 私にはどうでもいいことだ」

ー彼にしてみれば

自分のことを病人扱いしない
特別扱いもせず
ただ一人の人間としてしか見ていないドリス


そんな
かつてだれも
フィリップの前で見せたことのない反応をするドリスは

彼にとって ただただ異次元!

・・・というか
これが結構 居心地がいいんだ
フィリップにとっては。




彼が
おそらくは初めて出会ったのだろう

自分の前で
どんな感情も隠さず
知らないものには 大げさ?ってくらいに驚き 



ツボに入れば 気がすむまで笑い

「それ、禁句でしょ?」って言葉も
平気で使う
頭にくれば もちろん黙っちゃいない



フィリップが これまでにさんざん見飽きた
「同情」とは違う
「情け」を持つ男



その証拠に深夜
幻想痛に苦しみ 息ができない彼を
ドリスは 早朝のパリの街へ連れ出す



それは
フィリップがいかに楽になるかを
ドリスなりに考えただけの行動



ドリスは フィリップに
雇われたことには 違いないのだけど



彼の言動は ただただ自分の反応で
周りを見て動くとか
そういうところを超えている



要は ドリスは
自分の主義でしか動かないヤツ


タバコもそう
“ボロ原チャリ”も
彼の娘に対する態度もそう




ドリスの自由さと 気負いのない明るさは
フィリップの中にある
罪悪感
孤独
彼自身が
持つつもりもなく持たされてしまった
周りへの偏見すら
じわじわと溶かすかのように
彼の中に染み込んでいきます




|| 知らない世界が持つパワー ||




すっかり 意気投合したかのように見えたふたり
だけど
まだ幼いドリスの弟が 彼を頼って訪ねて来た時



フィリップは
自分の身の回りの世話を
『一生やる仕事じゃない』と身を引く

ドリスとの雇用関係を解消します



ドリスは
詳しくは言わないけれど
複雑な家庭環境と貧困の中で
居場所がなく
満たされない日々を送ってきた




フィリップとドリス
ふたりは UNTOUCHABLE(触れ合えない人々)



「住む世界が違う」とは
物語の前提でよくあるパターン

よくあるのはそこで
違う世界を乗り越えていくストーリー



この映画は
越えていくんだけど
お決まりの展開じゃぁないところがいいんだな。




ドリスが去った後
新しい介護人とはうまくいかず
すっかり心を閉ざしてしまうフィリップ

だけど彼には
自分の都合で ドリスを呼び出すなんてことはできない


食事もろくに摂らなくなった彼の変わりように
周りは心配し
ドリスを呼ぶ



無精ひげのフィリップを見て
いつものように笑い出すドリス

 

ドリスは フィリップを連れ出し
長いドライブの後
海を見せる

そこに 言葉なんかいらなくて。





無精髭を剃る時
「喉を掻き切れ」
とつぶやいたフィリップの声

それは
彼の本心からの言葉



ドリスといえば
鏡の中のフィリップを 覗き込み
「調子が戻ったね」
と笑うだけ



そして彼のヒゲで遊ぶ^^
そう
どこまでもマイペースのドリス



ドリスは
彼をレストランに連れて行くと
ふたつの置き土産を残して
その場を去る





『遠くへ行かないか?』
ーこの言葉に
理由も聞かずに応えてくれる人は
あなたの本当の友だち




UNTOUCHABLE(触れ合えない人々)
この映画のベースにずっと流れていた ふたりの男の 住む世界の違い 距離感
フィリップとドリスは 見事に越えましたね。

世の中の人はそれを
“絆”と呼ぶ




|| 本音とビジネス ||




映画では ドリスのいいヤツっぷりが
際立っていますが

ふたりは
お互いに「知らない世界」を知って
生きる糧を得た

その時必要だったのは
本音で付き合える相手



子どもの頃は誰でも
気の合う相手と
気の済むまで付き合ったのに

社会に出て
どこかに勤めるようになると
いつの間にか

人付き合いすら
効率とか損得に
知らず知らずになってしまう

効率と損得だけじゃ
いまどき ビジネス成り立ちません




本物の友だちとビジネスは
近いもの。

大切な、大切な友だちと
付き合うように
ビジネスする

理想ですね。
そのために
必要なこと



このまま生きてたら知りえない世界を どんどん知る
本音が言える場所をつくる
本音で付き合えるヤツを相手にする








(ドキュメンタリーもあるのね!)