思いのなさー「いのちの食べかた OUR DAILY BREAD」 | ​ 観るチカラを、生きる糧に。 ー SCREEN(私設)研究所

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観る映画が、あなたの、わたしの、人生のヒントになる。
ここは、SCREEN(私設)研究所。

潜在数秘術×映画で
「観る」ことと心の関係を
映画を通して読み解いていきます。



いま口にしているものが
どこからやってきたものか瞬時にわかったなら
果たして食事は楽しいものかな。




昔、家で飼ってた鶏が食卓に並んだ翌日
庭の隅に残る血の色を見た時。
その辺から
アタシの“肉離れ”は始まったと
自分では思ってるんだけど。




牛が
「肉牛」になるところ

乳牛から
「牛乳」が作り出されるところ

豚や鶏が
「豚肉」や「鶏肉」へ変わる瞬間
そこで働く人




食肉工場
養殖場
広大な農地
収穫作業や加工処理・・・

セリフひとつ
音楽ひとつとてない

限界まで
人の手を排した“工程”は
シュールな前衛アートでも
眺めてるような気分になってくる




ともかくも
こうして“つくられた”ものが
私たちの口に入ることは間違いなく

それを象徴するかのように
“工程”で働く人たちの
食べるシーンが
箸休めみたいに挟み込まれてる

これも
ただ黙々と食べるだけの
淡々とした休憩時間の画





・・・星野道夫を通して知ったのは
カリブーを愛おしむように解体し
すべて捨てることなく“いただく”術

そこには大量生産とはまた違う
“狩る者”の個人的な思いや生活が見える

それとはちょっと違うけど
単に批判するとかではなくて、なんだろ、

「(あなたが日々口にしているものは)
 こうしてあなたのもとに届いてるんですよ~」
と知らされた
みたいな感じ?




・・・ドキュメンタリーを観るとい
つも観てる“映画”が
いかに盛り上げようと
「頑張っているか」が分かる

お話と
セリフと
音楽と
仕掛けと
ビジュアルと
・・・そんだけ頑張れば
イヤでも盛り上がるさ~、ってね。



 
もちろん
普段はそれを楽しんでるんだよ

けど
ここまで“なにもない”画を見せられると
・・・ちょっとまごつくね

それで
どうすりゃいいんだろ?
てな具合で




お金を出して
食べ物を選ぶ時

新鮮さを
値踏みはするけど

そこに
いのちの影を見出すことは
なかなかできない

食べ物=命を
実感できないように

“工程”の中に働く人たちの思いなど
ここにはなく
必要もない

同じように
カメラは
最後まで淡々と回り続け
出し抜けに止まる

思いのなさは
あなたの食卓まで
続いている


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