自己学習、独学でリベラルアーツを勉強する方法みたいな話 | ニートの掃き溜め

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社会不適合者のすくつ

一応私のジャンルとして(職は情報処理だが)人文学関連なので文系。

この辺りって完全知識ゼロ、なんなら中高生より馬鹿な人でも獲得する方法を考えたいと思う。

 

・学び方

まず本を腐るほど読むしかない。

本読むっつってもラノベどころか大衆小説とかいくら読んでも何も身につかない。

ただ、まともに文章読めないならラノベ>大衆小説>古典SF>純文学とかそんな感じでゆっくり読解力を鍛えておいても良い。

これで身につく能力は読解力だし、読めるレベルをいくら読んでも娯楽になるだけで別に能力が上がったりすることはない。

強いて言えば戯曲や純文学は教養が身につく程度だろうか。

ぶっちゃけ殆どは「虎にならないと良いですね」とかくだらない事言う程度にしかならないので、読解力向上、時代背景や文化の勉強、その他後学の為とかではなく、雑学ひけらかしとか訳わからん目的ならそんなもん捨てちまえ。

 

・どれだけ学びにくいか

次に古典や人文学何の本を読めばいいか?これはよく質問された。

正直原著(邦訳)にあたって貰えれば一番いいがそうもいかないし、順番もある。

歴史も覚えないといけない。現代系の物でも基本的にある程度古典押さえておかないと理解に困るものも多い。

例えば資本主義について詳しく学びたいならカール・マルクスが頭に浮かぶと思うが、私の見解ではアダム・スミスの国富論とかがよほどキーになる。

資本主義は人間の営みが影の様に生じているものなので、意思を持って形成・実践しているとかそういうものではない。

まず市場原理等を理解して、これらには欠陥があるんじゃねえのか?ってキレ散らかしたのがマルクスで、資本論では資本主義的市場の問題点や独自の哲学体系を連ねている。

故に資本主義を「搾取社会」として言い換えるバカの一つ覚えの超超超訳っていうのは膨大な筈の資本論の一言要約から来ている。(一応全巻持っているが、1/3くらいエンゲルスとはいえ他と比較して数倍、とびぬけて大著なんだがそれを一言って)

そんな単純な話じゃないので労働者搾取という記号で連呼してる奴がいたらペダントリー(頭良いと思われたい)拗らせた馬鹿なので相手にしない方がいい。

 

話は脱線したが以上の様に順序とかがある。

上でちょっと脅してはいるが、経済系は歴史無視して割と直接的にあたっても何とか紐解きやすい。

が、元が滅茶苦茶難解なので、原著やガチの解説書はある程度覚悟が必要な事と、結局基礎的な哲学用語や概念が話に交じって来るので多少の基礎教養が無いとちんぷんかんぷんになる場合も多いだろう。

やっぱり気難しい物を学ぶにはある程度バックボーンが必要である。

基本的に哲学の基礎と参考対象の古典についての知識を持ってなければいけない。

 

例えば昨今はマイケル・サンデルがトロッコ問題等でめちゃくちゃ有名だが、有名著書はベンサム、ミル、ロールズの研究や批判の話、アリストテレスやカントの話がそれなりにある。

こういう爆発的に売れる大衆向け著書は親切にそれらについての知識を知らずとも説明してくれるからこそ人気があるので、まるで問題はない。

しかし、大半の研究書等はそんな親切ではないし、哲学体系を語る時に一つ一つ参照元の説明なんかしてくれはしない。

要するにサンデルの著書(少なくとも倫理の話をしようは)は体系を纏めたものではないライトな新書のような、ある種娯楽本なのでここまで親切なのである。

そうでない場合ロールズを見る為に、ギリシャの哲学者やミル、ベンサムを知る必要があるし、ミルを見るには、特に功利主義についてはベンサムを知る必要があるし、そもそもベンサムの和訳文献はほぼない。(慶應義塾から出てる入門書を読め)

特にこの政治系だと契約論、民主主義の話が頻出するのでホッブズ、ロック、ルソーの社会契約論についての話も多少抑える必要がある、と思う。アリストテレスの政治学は政治基礎というか万物に共通する話なのでこれも押さえておきたい。

カントやアリストテレスの話が出てきたが、人文系で常に付きまとってくる哲学者はプラトン、アリストテレス、デカルト、カントであり、これもある程度抑える必要がある。

これも順番が必要でプラトン>アリストテレス>デカルト>色々>カントという順番が必要になる。

この色々というのが、カントを学ぶ上でヒュームとか知っていた方がいい批判対象がちょこちょこあるという話ですっ飛ばしても良い。

 

と、言うように結局どこまでいっても順番や歴史を覚えておかないといけない。

以上から万一サンデルでロールズに興味持って首突っ込んでも結構面倒臭い事になるだろう。

 

・結局どっから手をつければええねん

無責任なサイトやブログでは「いろいろ言われてますが、好きな物からやればいいんですよ!」とか言うが当然これは却下だ。

一般的にはやはりプラトンから始めろと言われる。

ホワイトヘッドが「みんなプラトンの話しかしてないだろ」みたいに言ってるように、どの時代でも付きまとってくるのがギリシャ哲学だ。

その中でもプラトンやアリストテレスはなんとなく知っておく必要があるし、プラトンは台本型になっているので読みやすい。

高確率でソクラテスの弁明を薦められる筈だ。

ただこれを読んだところで「だからどうしたー?」ってなるのが一般人だと思う。

いや、卑下しないでもらいたい。私は寧ろ「だからどうした…?」と考えた人ほど評価したいし伸びしろがあると思う。

 

ここで書かれている事は、ソクラテスの格率みたいな…つまり主観やポリシー的な話、屁理屈と何よりもプラトンが憎悪した腐敗した民主主義についてのアンチテーゼを裏テーマにしているだけである。(他の著書、「国家」などに繋がる)

要するに、これから哲学を学ぶ人間の多くが期待しているような内容がここには書いてないって事だ。

これはどちらかというと、純文学などを読んで「あなたはここからどうくみ取りましたか?」みたいな読解力というか道徳的授業というか求めていない別の物があると言える。

 

だもんで、プラトンに関しては入門解説書を参考に原著を薄く舐めて挫折しない方へ重きを置いた方がいいかもしれない。

アリストテレスに関してはちゃんと読み込んで構わない。ただ当たり前だが普通に難しいので入門書の力を借りる。

 

・例外もあるが殆どはどうしても基礎知識がいるので歴史を辿っていくしかない

そしてデカルト、カント…ヘーゲル…

このように順番は歴史を追っていくと良い。

因みにデカルトも恐らく基礎知識なしでいける、がこの時期で重要になるアリストテレスやモンテーニュやセネカの話もちょろちょろ出る(モンテーニュ-エセーは多くの哲学者に影響を与えていて、やたら引用される、が別に見なくても問題はない)。

デカルトの方法序説は哲学の基礎、鉄板なのであたると良い。岩波で薄いのが安く買える。

「我思う故に我有り」とは数学的方法論を今でいう科学に適応させるためにはどういった公理(ユークリッド幾何学に公理があって、それが数学の礎になっている通り、絶対的に正しいという仮定があってはじめて証明が可能になる)が必要か、思考する自分が存在するのは絶対的な事実なのでこれを公理に世の中の物事を証明しようぜ!

という、哲学史の節目となる。

カント三大批判。これはバチクソに難しいので真面目にあたるのはおすすめしないが、認識している物しか事実と言えないなら科学的証明とか無理じゃね?みたいな話に整合性を付ける話

また証明が絶対的に不可能な認識できない物(形而上学)との区別もはっきりつけたので哲学史の大きな節目になる。

これはもう諦めて解説書を読め。内容は難解だし歴史どころか背景の理解も必要なためだ。

 

また、昔日本で爆発的に人気を誇ったサルトルやニーチェはちょっと特殊なので、割と基礎知識なしでもいけるかもしれない。キェルケゴール(これは神学知識が欲しい)やショーペンハウアー(主に愚痴の羅列)もいけるかな。

因みに哲学が訳わかんないポエムだと認知されたのは主にサルトルとかのせいだと思っている。

 

ただもちろんこれらも基礎教養があった方が理解しやすいのは確かだ。

 

そんで古典に興味あまりなくて、鉄板かつ有名なハイデガーとかウィトゲンシュタインとかにあたりたいという人もいると思う。(彼らも古典なのか?)

その二人は…直接行けると思う。独自の体系が少なくないので解説書があればなんとかなると思う。だが当然だが有名な分ボスクラス(専門家すら理解出来ない)なのでアホみたいに難しい。

そして出来ればフッサールの履修が欲しい。

フッサールも増して死ぬほど難解だし、カント等の前知識も欲しいのですっ飛ばすか解説書で1/10くらい覚えておく程度にとどめておくのが無難かもしれない。(もし半分もわかるなら今すぐ学者目指せ)

フッサールは他にもサルトルやメルロ・ポンティ、レヴィナス等の祖でかなり大御所である。が、地味というかなんかそこまで名前上がらない気がする。とにかくその頃の我々が哲学者としてイメージするほとんどの哲学者の師匠である言える。

 

またウィトゲンシュタインに関しては、ソシュールをちょっと履修した方がいいかもしれない。

特に19~21世紀の哲学者は(興味ない人は余り聞いた事ない名前かもしれないが)基本的にソシュールがかなり重要になって来るので、簡単に学んでおく必要がある。

存命中は名声が無く、著書は生徒が書いた一般言語学講義くらいだが解説書があると思うのでそれで結構だと思われる。

この時期になると哲学は言語や構造についてのアプローチがかなり重要になってくるため、ウィトゲンシュタイン、レヴィ=ストロース、ミシェル・フーコー、精神分析枠ならジャック・ラカン等、大御所の哲学者を読む上での基礎知識としてかなり必要と言える。

大体みんなソシュールの話をしている。いやハンナ・アーレントはプラトンの話ばっかりしてたか。

 

因みにラカンと言えば心理学、精神分析学の方は普通にフロイト、ユングを抑えればどこいくにも大抵十分と思う。関連はあれどちゃんとそれぞれ確固とした独自体系を持ってるので前知識なしで直接当たれる。

関連を掘ったりヴントとかさかのぼる必要もなく、フロイトは直接原著に行けばいい。ユングはしっかりした解説入門書を薦める。

ここまでで取り合えず大体のジャンルは流しただろうか。

 

 

・解説書とか翻訳書とかどれをあたればいいか

まあ鉄板は岩波だろう。

原著は

 

1 岩波文庫

2 ちくま学芸文庫

3 講談社学術文庫

4 河出文庫

 

中公とか角川ソフィアとか新潮とか光文社とか他にもいくらでもあるだろぉ!とか言われそうだが、取り合えずこの辺りが個人的にはすげえ充実してると思うので限定しておく。

 

-岩波

鉄板は岩波なのだが、高尚・衒学的な印象や固い文語訳、かつ翻訳が古かったり意訳を避ける専門性が忌避させる原因となっている。

要するに学術的にはメリットが多いが、読むのにスキルが必要だったり読めないと馬鹿にする輩がいるので必要以上に嫌う人が多い。

故に読む力が無い人の自己欺瞞で悪訳が多いからクソと言われがちな可哀想な本。

種類が豊富で頑丈で滅茶苦茶安いのでオススメではあるが、読解能力に自信ないなら避けた方がいい(くれぐれも自分の無能を岩波のせいにしないように)。

青帯が哲学系、科学系

白帯が経済や法律、文系学問

赤帯が海外文学

緑帯が日本文学

黄色が古文

 

-ちくま学芸文庫

かなりわかりやすい意訳等親切設計で、解説が添えられている事も多い。

一番人気あるんじゃないかな。

種類も豊富だが非常に脆くかなり高いので金持ち向け。

主に背表紙が白い奴。

青は数学系。

オレンジは文学を含むその他いろいろ。

 

-講談社学術文庫

解説が豊富でバランスがいいがあんまり種類ない気がする。

頑丈で安い。

 

-河出文庫

しっかりしているが読みやすい。

古典よりドゥルーズ等比較的現代哲学が多い気がする。

サピエンス全史とかもここから出ていて、結構新しく実践的な物が多い。

頑丈で高い、全体的に豪華。

youtubeとか解説サイトで剽窃されまくってる超訳と前提知識を丁寧に書いた主要哲学者全員をまとめた、「飲茶の史上最強の哲学入門」もこの会社から。

因みにその入門書こそ最初の一冊には適当ではあるが、敢えて冒頭で名前出さなかったのは繰り返し説明するが、youtubeとか解説サイトに無断転載・剽窃されまくってるから別に買わなくてもいくらでも見れる為である。

私はちゃんとシリーズ全部買ってるが(なんならてつがくフレンズも持っている)、ググればそこら中に転がっている情報の為に無理に買う必要もあるまい。

飽くまで丁寧な超訳・背景解説であってこれから学ぶ為の道具・情報以上にはならないし。

 

 

新書も見てみよう。

新書は

 

1 岩波新書

2 ちくま新書

3 講談社現代新書

4 中公新書

5 平凡社ライブラリ

6 中公クラシックス

7 ブルーバックス

8 角川新書

次点 白水社クセジュ

 

辺りで。

 

-岩波新書

新書になっても岩波の文体は(悪訳が問題ではない為)小難しい。

ただ、哲学者やらの解説が人生から思想に及ぶまでしっかり丁寧に作りこんである為、外しにくい。

読むのは疲れるけど迷ったら全部岩波でいい気がする。

 

-ちくま新書

かなりユニークなものが多く、それぞれにすさまじい学びがある。

とはいえ、余りに自由奔放すぎて特に「入門」系はタイトルと一致してない物が殆どで独自の研究解説などが展開されたり等、岩波にと違って雑というか、求めてないものやレベルを見誤ることが多い。

特に手を伸ばしたくなる「著名人名+入門」は全種類コンプして全部読んだがかなり質にや方向性にムラがあり、お勧めできるものが少ない。

また凄く質が良いのに目的から大きくかけ離れる場合もあるので評価しがたい。

ちくま新書の入門シリーズはよりよく知る為、より新しい視点を見つける為に使うのが正解だと思う。

 

ちくま学芸文庫にもビギナーズって入門シリーズがあり、そちらもフルコンプして全部読んだが、(カタカナ名のビギナーズは)挿絵だらけな上にかなり端折ってる為に評判はあまり良くないが入門ならそっちの方が遥かにマシかも。

ただマシなだけで良くはない。

 

-講談社現代新書

カジュアルなものが多いが、その分余計な情報が多い感じが否めない

ただフランクな割に中身は充実している。

正直余り多く読んでないから無責任に説明は出来ない。

 

-中公新書

得手不得手があるのが悪い意味でのちくまという感じがある。

例えば解説入門書のつもりで買ったら、当時その哲学者とあった思い出話や印象、主観を延々と連ねてるクソみたいな本と出会ったり…(焼いてやろうかと思ったが、まあ多少は学びがあったので…)。

一応歴史に強い会社なので、哲学とかは避けた方がいいのかもしれない。

私の経験の範疇だと中国史系とかは凄く丁寧に解説されていた。

 

-平凡社ライブラリ

かなり多くのマニアックな古典や哲学書等がいい感じに翻訳されてる変なサイズの新書。

頑丈で見た目豪華。

 

-中公クラシックス

マニアックな古典や哲学書などがいい感じに翻訳されている新書。

ただかなり日焼けに弱い為、保管に注意。

 

-ブルーバックス

マニアックな科学系がメインの新書。

量子力学とか宇宙とか。

似たジャンルだと帯分類はあるがサイエンスアイ新書。

文庫だとハヤカワって選択肢もある。途中話題にしたサンデルの多くの著書もハヤカワから出ている。

 

-角川

これらに連ねるのはやや毛並みが違うというか、若干場違い感もあるかもしれないが、現代の教養系として角川新書はかなり有益な物に限定して出していると思う。

また、予備教養のいる結構難しい本もちょろちょろある為、慎重になる事。

これらの中だと、真面目なら岩波、フランクになら現代講談社が一番無難かなぁ。

 

-白水社 クセジュ

具合は良く知らないのだが、海外の解説書とかを翻訳したものがメインになっている気がする。

海外の岩波新書みたいな感じになっていて、かなり興味深い本が多いので慣れて読む本が無くなってきたら一発噛んでみてもいいかもしれない。

題材もなかなかマニアックで良いが、サイズがちょっと変なので注意だ。

平凡社ライブラリを更に少し大きめにした感じ。

 

 

単行本はメシエ、人文、ミネルヴァ、オライリーだとか色々あるが、派生も含めて少数でも避けえない代表的なのがあったりしてキリがないのでスルーする。

 

 

つかれた。

もうこれ書くのに数時間かかってるからここでいったん終了するわ。