オーブ オーブ オーブ
目の前の空気が
沸き立って見えて来ると
さあ お出ましかな? と
微笑むようになった
そうだ
オーブたちだ!
還暦を越し
愛犬を失った翌年の節分の晩に
鬼は外 福は内 と投げた豆を
瞬時に避けて飛び回った光の玉
突然 姿を見せた彼ら
いや
もうとっくにそこにいたのに
それまで見えなかった
気付かなかったのだろう
それからずっと
目の前を浮遊している
怖さは一切なく
逆に守られてる感が確かにある
そして
彼らはどこにでもいて
仕事中も
旅先にも
電車の中にも
なんと
高さ10000mを
時速900kmで飛ぶ
飛行機の中にも
それはまるで
僕に付いて回っているかのように
僕はそれからの数年
毎日毎日 欠かすことなく
彼らと接して来た
それは
仕方なくも一方通行で
彼らからの返事はない
また
彼らが何者なのかすら
今まだ分からない
それでも
僕の言葉を理解しているようで
いくつかの言葉には
ゆらり反応する
そして
不思議かな
物も壁もすり抜けるけれど
僕の身体だけは
瞬時にかわし衝突することはない
更には
彼らどうしも
同じように衝突しない
姿や
速さは
無数にあり
彩りも豊か
スマホで倍率1倍で撮れば
ゆらりと動き
広角0.5倍ならば
高速で飛び回る
3次元ではなく
4次元でもない
ちょうどその間の空間を
見え隠れしながら
漂っているようだ
もしかすると
彼らからの言葉はあれど
それを捉えてられる機能が
僕にはまだ
備わっていないのかもしれない
すれば
この身体
次に何らかのきっかけでもあれば
いずれ次元上昇でもして
彼らとのコミュニケーションが
叶うのかもしれない
それを
楽しみにしてはみるが
その時は
僕もまた
あちら側にいるのかもしれない
墓所はもちろん
仏壇にもそれは姿があり
また
社寺仏閣へと出掛ければ
社殿で一礼し
手を合わせてみれば
なんとなく気配を感じることばかり
そこでまた撮れば
姿は違えど
小さな玉響たちが浮遊している
彼らもまた
何者かは分からないけれども
勝手に神様の使いではないかと
想像してみる
それもまた不思議かな
どんなに綺麗に着飾った社殿でも
一切 気配を感じないことばかり
それよりも
飾りなき古い小さな神社では
彼らは必ず姿を見せる
それから
愛犬の仏壇にも
必ずそれは現れて
これはやっぱり
あいつだとしか思えない
もちろん
今まだ何ひとつ
本当を知る術はないけれども
僕は嘘偽りなく
今 こんな空間の中にいる
さあ
今夜はどんな玉響たちが
会いに来るのだろう
もしかすると
あなたも還暦を越した頃
とても悲しいことに耐えたならば
次の節分あたりに
こんな空間が見れ出すかも…




