5.5感
―オーブと、まだ見えぬ周波数の物語―
まえがき
犬笛を吹いても、人間には聞こえない。
けれど、犬には聞こえている。
私たちはそれを不思議だとは思わない。
人間と犬では、聞き取れる周波数の範囲が違うことを知っているからだ。
では、もし――。
人間にも、まだ聞こえていない音があるとしたら。
まだ見えていない光があるとしたら。
そして、私たちが「存在しない」と思っているものの中に、実は、ずっとそこにあった何かが含まれているとしたら。
この物語は、そんな小さな疑問から始まります。
主人公の小野寺葉月は、ある日から、周囲に浮かぶ小さな光を見るようになります。
それは「オーブ」と呼ばれるもの。
心霊現象なのか。
幻覚なのか。
未知の物理現象なのか。
答えを求めて訪れた「閾覚研究所」で、葉月は、人間の五感の外側に存在するかもしれない、未知の知覚領域について知らされます。
研究者たちは、それを仮に「帯域B」と呼びます。
そして葉月自身が、その境界に立つ人間――「五・五感」の持ち主なのではないかと考え始めます。
けれど、この物語は、オーブの正体を解明する物語ではありません。
むしろ最後まで、正体は分からないままです。
それでも私たちは、見えたものに意味を与え、聞こえたものに名前をつけます。
愛する人を失ったとき、その人の気配を感じることがあります。
それが記憶なのか、心なのか、それとも本当に何かが届いているのか。
誰にも証明できないからこそ、人はそこに自分なりの答えを見つけるのかもしれません。
これは、五感と六感のあいだ。
まだ名前のない場所を覗いてしまった、一人の女性の物語です。
もし読み終えたあと、あなたの視界の端に小さな光が見えたなら――。
どうか、すぐに「気のせい」と決めつけないでください。
もちろん、本当に気のせいかもしれません。
そのどちらなのかは、私にも分かりません。
序章 犬笛の鳴る場所
犬笛を吹いても、人間には何も聞こえない。
けれど公園の隅で丸まっていた柴犬は、飼い主が笛を口に当てた瞬間、耳をぴんと立てて振り返った。音のない音に、犬だけが応えた。
小野寺葉月はベンチに座ったまま、その光景をぼんやり眺めていた。三月にしては冷たい風が、桜のまだ固い蕾を揺らしている。
――聞こえない音が、たしかにそこにある。
当たり前のことだ。中学の理科で習った。人間の可聴域はだいたい二十ヘルツから二万ヘルツ。それより高い周波数も低い周波数も、この世界には満ちているのに、耳という器官の性能が足りないというだけの理由で、私たちはそれを「無い」ことにして生きている。
葉月がそのことを繰り返し考えるようになったのは、光を見るようになってからだった。
最初は視界の端をよぎる小さな光の粒だった。まぶたの裏に残る残像のようなもの、あるいは疲れ目のせいだと思っていた。しかしそれは日を追うごとにはっきりとした輪郭を持ち始め、今では明らかに「そこにある」としか言いようのない、丸く発光する何かとして、葉月の視界に浮かぶようになっていた。
半透明で、ソフトボールほどの大きさで、ゆっくりと漂う光の球。
インターネットで調べれば、すぐに名前が見つかった。「オーブ」。心霊写真の分野では古くから知られている現象で、多くは埃やレンズのフレアだと説明されている。だが葉月が見ているものは、写真の中の話ではなかった。肉眼で、まぶたを開けているときにだけ見える、リアルタイムの光だった。
睡眠不足でもなければ、心療内科に通っているわけでもない。二十六歳、広告制作会社に勤める、いたって平凡な会社員だ。だからこそ、この光をどう扱えばいいのか、葉月にはずっと分からずにいた。
犬が笛の音に反応するように、もし人間にも聞こえない周波数があるのなら――見えない周波数だって、あるはずだ。
五感という。だがその先にも、きっと続きがある。六感、七感、あるいはそれ以上。感じていなくても、目の前に既に存在しているのかもしれない何か。
葉月は自分が今、その「続き」のどこか半端な場所――五感と六感のあいだ、名付けるなら五・五感とでも言うべき場所を、彷徨っているのではないかと思うことがあった。
ポケットの中でスマートフォンが震えた。画面には見慣れない着信番号。長野県の市外局番だった。
「もしもし」
「小野寺葉月さんの携帯電話でよろしいでしょうか」
落ち着いた、年配の男性の声だった。
「はい、そうですが」
「突然のご連絡失礼いたします。私、閾覚研究所の所長をしております、宇佐美と申します」
聞いたことのない名前だった。だが、次の一言で、葉月は息を止めた。
「あなたが最近、ある種の発光現象――『オーブ』と呼ばれるものを頻繁に目撃されているという情報を得まして、ご連絡いたしました」
第一章 閾覚研究所からの誘い
「……どういうことでしょうか」
葉月の声は自分でも驚くほど掠れていた。誰にも話していないことだった。会社の同僚にも、実家の母にも。オーブのことを口にすれば、心配されるか、笑われるか、どちらかだと分かっていたからだ。
「驚かれるのはごもっともです」電話の向こうの宇佐美という男は、慌てる様子もなく続けた。「私どもは長野県の山中で、人間の知覚――特に、いわゆる五感の外側にある知覚現象を研究している、小さな民間の研究所です。オーブの目撃者の方に、聞き取り調査というかたちでご協力をお願いしておりまして」
「私がオーブを見ているって、どうして分かったんですか」
「それについては、お会いしてご説明した方がよろしいかと思います。電話だけでは信じていただけない内容ですので」
葉月は黙った。窓の外では、柴犬がまだ飼い主のまわりを跳ねていた。聞こえない音に応え続ける犬。
「もちろん、無理にとは申しません。ですが、もしよろしければ、今週末にでも研究所へお越しいただけないでしょうか。交通費はこちらで負担いたします。ご不安であれば、ご家族やお友達とご一緒でも構いません」
「……考えさせてください」
「もちろんです。あなたのお名前と、この現象について、私どもは以前からある方の……」
そこで宇佐美は一瞬言葉を止めた。
「いえ、詳しくはお会いしたときに。それでは、良いお返事をお待ちしております」
通話は切れた。葉月はスマートフォンを握りしめたまま、しばらくベンチから動けなかった。
*
その夜、葉月は一人暮らしのアパートで、パソコンの前に座っていた。「閾覚研究所」で検索しても、ほとんど情報は出てこない。個人のブログに一度だけ、「長野の山奥にある、あやしい研究所」という書き込みがあった程度だ。学術機関でもなければ、企業でもない。NPO法人として登録はされているようだが、活動内容は「知覚科学に関する調査研究」としか書かれていない。
胡散臭い。普通ならそう判断して終わりだ。
けれど葉月には、どうしても無視できない理由があった。
三年前に死んだ幼馴染、佐伯直人のことだ。
直人が事故で亡くなったのは、葉月が二十三歳のときだった。二人は同じ団地で育ち、同じ小学校、同じ中学校に通い、高校こそ別々になったが、大人になってからも月に一度は必ず会って話す仲だった。恋人ではなかった。けれど、それに近い何かではあったと、今でも葉月は思っている。
直人が死んでからしばらくの間、葉月は何も手につかなかった。そして半年ほど経った頃から、視界の端に光の粒が見え始めたのだ。
偶然かもしれない。悲しみが見せる幻覚かもしれない。医者にかかることも考えた。だが光は葉月を傷つけることも、脅かすこともなかった。ただ静かに漂い、時折、まるで葉月のことを見ているかのように、すこし近づいては離れていく。
もしかすると、あの光の中に、直人がいるのかもしれない。
そう思うことが、葉月にとってはこの三年間、唯一の救いだった。同時に、その考えに縋りすぎている自分を、どこかで恥じてもいた。科学的にありえない。分かっている。分かっているけれど。
葉月はもう一度スマートフォンを取り出し、宇佐美の番号を見つめた。
「行ってみよう」
小さくつぶやいて、葉月は返信のメッセージを打ち始めた。
第二章 閾覚研究所
長野駅からさらにローカル線に乗り換え、無人駅で降りると、迎えの車が待っていた。運転していたのは、二十代半ばに見える若い女性だった。
「小野寺さんですね。研究員の高津です」
車は山道を三十分ほど走った。窓の外の景色は徐々に木々の密度を増し、やがて舗装された道の脇に、木造とガラス張りを組み合わせた、思いのほか近代的な建物が現れた。
「思ったより……普通の建物ですね」
葉月が思わず漏らすと、高津は小さく笑った。
「怪しい施設を想像されてました? よく言われます」
ロビーで待っていたのは、電話で聞いた通りの落ち着いた声の主、宇佐美だった。白髪交じりの髪を後ろに撫でつけた、六十代くらいの男性で、着ているのは飾り気のないグレーのカーディガンだった。研究所の所長というより、大学の名誉教授のような雰囲気がある。
「よくお越しくださいました」
案内された部屋には、ホワイトボードいっぱいに書かれた波形のグラフや、聞き慣れない専門用語が並んでいた。「知覚帯域」「閾値シフト」「非可聴光子相互作用」――葉月には半分も理解できない言葉ばかりだった。
「単刀直入に申し上げます」
宇佐美はテーブルを挟んで葉月の向かいに座ると、静かに話し始めた。
「私どもは十五年ほど前から、人間の知覚能力――目や耳、皮膚感覚といった、いわゆる五感が拾っている情報の『外側』に、何があるのかを研究しています。犬笛の音が人間には聞こえないように、あるいは紫外線が人間の目には見えないように、私たちの周囲には、五感の性能の限界によって『無いこと』にされている情報が、無数に存在しています」
「それは、分かります。学校でも習いましたし」
「ええ。ですが問題は、その『限界』が、実は一定ではないということです」
宇佐美はホワイトボードに歩み寄り、なだらかな曲線を描いた。
「人間の知覚能力には、統計的に見て、わずかながら『ゆらぎ』があります。多くの人は平均的な範囲内で五感を使っていますが、ごく一部の人は、その限界がわずかに拡張されている状態で生まれつく、あるいは何らかのきっかけで、後天的にそうなることがある。私どもはこの状態を、便宜的に『五・五感』と呼んでいます」
葉月は息を呑んだ。それは、まさに自分がこの数年考え続けてきた言葉そのものだった。
「……どうして、その言葉を」
「あなたが今、心の中でそう名付けていることを、私どもは知っていたわけではありません。ただ、多くの目撃者の方が、独立に、似たような表現にたどり着かれるのです。五感と六感のあいだ。半端な場所。ちょうど狭間にいるような感覚、と」
宇佐美は葉月の目をまっすぐ見た。
「小野寺さん。あなたが見ているオーブは、幻覚でも、埃でもありません。それは、私たちの可視光の帯域からわずかに外れた場所に存在する、何らかの『発光する情報体』です。そして私どもは十五年かけて、それが何なのか、少しずつですが、輪郭をつかみ始めています」
第三章 佐伯直人という人
その日は研究所内の簡素なゲストルームに一泊することになった。夕食の後、高津が葉月の部屋を訪ねてきた。
「所長、少し性急でしたよね。いきなりあんな話をされても」
「いえ……正直、驚きましたけど。半分くらい、納得してしまっている自分もいて」
高津はベッド脇の椅子に腰掛け、お茶の入った紙コップを差し出した。
「小野寺さんは、どなたか、亡くなった方がいらっしゃいますか」
唐突な質問だった。けれど不思議と、責められているようには感じなかった。
「……幼馴染です。三年前に、事故で」
「オーブを見るようになったのは、その後からですか」
「はい。半年くらい経ってからです」
高津は頷いた。「実は、私どもが調査したケースのほとんどが、同じパターンをたどっています。近しい人を亡くした後、数ヶ月から一年ほどのあいだに、オーブの目撃が始まる。もちろん、悲しみによる幻覚だという可能性は、私どもも最初に検討しました。ですが」
「ですが?」
「幻覚であれば、当然、個人差はあっても、脳のメカニズムとしてはある程度共通した現れ方をするはずです。ところが、私どもが集めたデータでは、オーブの動きや発光パターンに、明確な『個体差』が見られるのです。まるで、それぞれが独立した意志を持っているかのように」
葉月は自分の紙コップを見つめた。湯気がゆっくりと立ちのぼっている。
「直人のことを、話してもいいですか」
「もちろんです」
葉月はぽつりぽつりと語り始めた。同じ団地の隣の棟に住んでいたこと。小学生の頃、団地の駐輪場の裏で、二人だけの秘密基地を作っていたこと。直人が高校で吹奏楽部に入り、休みの日に犬の散歩をしながら練習していたトランペットの音が、遠くまで響いていたこと。大人になってからも、月に一度、駅前の定食屋で待ち合わせては、たわいもない話をしていたこと。
「直人は、変なことをよく言う人でした。『人間には聞こえない音があるのと同じで、見えないものもきっとあるんだろうな』って。犬の散歩が好きだったから、犬笛の話をよくしてて」
葉月はそこで、少し笑った。
「あの詩みたいな考え方、直人がよく言ってたことそのものなんです。だから最初にオーブを見たとき、真っ先に、直人のことを思い出しました」
「事故の状況を、伺ってもよろしいですか」
葉月の表情が少し曇った。
「深夜、車の少ない道路で、信号無視をしたトラックに……即死だったそうです。奇妙なんですけど、直人は事故の直前、電話で私に『今から行くところがあるから、また今度連絡する』って、ちょっと変な言い方をしていました。何の用事だったのか、最後まで分からずじまいで」
高津の表情が、わずかに硬くなったのを、葉月は見逃さなかった。
「高津さん? 何か」
「……いえ。似たようなケースが、他にもあったものですから」
その言葉の意味を、葉月はまだ知らなかった。
第四章 オーブの正体
翌朝、葉月は研究所の地下にある観測室に案内された。壁一面に並んだモニターには、ノイズ混じりの映像が映し出されている。
「これは、施設内に常時設置されているカメラの映像です」宇佐美が一台のモニターを指した。「通常のカメラでは映りませんが、私どもが独自に開発したセンサーを組み合わせることで、オーブの軌跡を可視化しています」
画面には、ゆっくりと漂う複数の光の粒が映っていた。葉月がいつも見ているものと、ほとんど同じだった。
「これは……何なんですか。本当のところ」
宇佐美は少し考えるように間を置いてから、答えた。
「正直に申し上げれば、まだ分かっていないことの方が多いです。ですが、これまでの観測データから、一つの仮説を私どもは持っています」
彼はホワイトボードに、二つの円を描いた。
「私たちが生きているこの世界を、便宜的に『帯域A』と呼びます。人間の五感が知覚できる、光、音、匂い、味、触覚の範囲です。そして、その外側に、帯域Aとは異なる周波数を持つ、もう一つの層があると私どもは考えています。仮に『帯域B』と呼びましょう」
「帯域B……」
「誤解のないよう申し上げておきますが」宇佐美は少し苦笑いを浮かべた。「『帯域』という言葉は、私どもが説明の都合上そう呼んでいるだけです。それが本当に周波数の層のようなものなのか、そもそも空間的な広がりを持つものなのか、まったく別の何かなのか――正直なところ、私どもにも分かっていません。名前を付けると、分かった気になってしまう。それが、この手の研究では一番危険なことだと、私は思っています」
「重要なのは、この二つの帯域は完全に切り離されているわけではなく、ごく限られた条件下で、わずかに『滲み出し』が起きるということです。特殊な感受性を持つ人――たとえば深い喪失を経験し、精神的な知覚の閾値が一時的に変化した人には、帯域Bの情報が、光の粒として知覚されることがある。それが、オーブと呼ばれる現象の正体ではないか、というのが私どもの仮説です」
葉月は黙って耳を傾けていた。
「では、その帯域Bに、何があるんですか」
宇佐美は初めて、少しだけ言葉に迷うような表情を見せた。
「これは科学的に証明された話ではなく、あくまで観測データから導かれる、一つの解釈に過ぎないことを、先にお断りしておきます」
「はい」
「私どもが十五年間、数百名の目撃者から集めた証言には、共通する感覚があります。オーブを見るようになった方の多くが、ある時点から、その光に『親しみ』や『安心感』を覚えるようになる、ということです。まるで、知っている誰かがそこにいるかのような」
葉月の心臓が、小さく跳ねた。
「そしてもう一つ。これは統計的な傾向に過ぎませんが……オーブの目撃が始まる時期と、目撃者にとって近しい方が亡くなった時期のあいだに、有意な相関が見られます」
「つまり……」
「断定はできません。帯域Bに何があるのか、正直なところ、私どもにも分かっていません。ただ――そこから来たとしか説明のしようがない情報が、確かにある。それだけです」
部屋の中に、しばらく沈黙が落ちた。
「分かっていない、と正直に言われる方が、かえって信じられる気がします」
「非科学的だと思われるでしょう」宇佐美は小さく笑った。「分かった、と言い切ってしまう方が、よほど楽なんですが。私自身、この十五年、分からないことを分からないまま扱う難しさと、ずっと向き合っています。ですが、小野寺さん。あなたに一つ、確認していただきたいことがあります」
第五章 観測実験
その「確認」とは、研究所が開発した実験装置を使った観測だった。
宇佐美が案内したのは、防音と電磁シールドが施された、六畳ほどの小部屋だった。中央に一脚の椅子と、その周囲を囲むように、複雑な形状のアンテナのようなものが立てられている。
「これは『閾覚増幅器』と呼んでいる試作機です」宇佐美が装置に手を触れながら説明した。「帯域Bとの境界にある知覚のゆらぎを、一時的にわずかに拡張する効果があると考えられています。効果には個人差が大きく、まったく何も起きない方もいらっしゃいます」
「危険はないんですか」
「これまでのところ、深刻な副作用の報告はありません。ただ、強い既視感や、一時的な情緒の高まりを感じる方はいらっしゃいます」
椅子に座ろうとした葉月を、高津が呼び止めた。
「小野寺さん。無理にとは言いません。今日決める必要もないので」
葉月は少し考えてから、首を振った。
「大丈夫です。……ここまで来て、やらない方が後悔しそうなので」
椅子に腰掛けると、装置が低い唸りをあげ始めた。目を閉じるよう指示され、葉月は言われた通りにした。
最初は何も感じなかった。ただ、耳の奥でかすかな圧を感じるような、飛行機が高度を上げるときに似た感覚があった。
そしてしばらくすると、まぶたの裏に、いつもの光の粒が現れた。だがそれは、これまで見てきたものより、ずっとはっきりとしていた。輪郭がくっきりとし、内側にゆらめく何かの模様のようなものまで見える。
「見えます……いつもより、ずっとはっきり」
「その光に、意識を向けてみてください。話しかけるように」宇佐美の声が、遠くから聞こえるように響いた。
葉月は、心の中で呼びかけた。
――直人?
光がわずかに揺れた気がした。近づいてくる。まるで返事をするように。
――直人なの?
胸の奥から、説明のつかない感情がこみ上げてきた。悲しみでも喜びでもない、その両方が混ざり合ったような何か。目を閉じているのに、涙が頬を伝うのが分かった。
そのとき、頭の中に、直接ではないが、まるで記憶がふいに蘇るときのように、一つの映像が浮かんだ。
夜の道路。ヘッドライトの光。そして――誰かの、焦った表情。
「っ……!」
葉月は思わず目を開けた。装置がゆっくりと停止していく。
「大丈夫ですか」高津が駆け寄ってきた。
「今、何か……映像みたいなものが」
宇佐美と高津が、顔を見合わせた。
「小野寺さん、それは、非常に重要な報告です。これまで、視覚的なイメージまで受け取った目撃者は、片手で数えるほどしかいません」
葉月は震える手で、額の汗を拭った。
「事故の光景でした。直人の、事故のときの……」
「今すぐでなくても構いません。落ち着いてから、詳しく聞かせていただけますか」
葉月は頷いた。だが心の中では、一つの疑問が渦を巻き始めていた。
なぜ、あの夜の映像を、直人は――もしあれが本当に直人からの何かだったとしたら――なぜ、わざわざ見せたのだろうか。
第六章 三年前のファイル
観測室を出た後、葉月は落ち着きを取り戻すために、しばらく休憩室で温かい飲み物を渡された。高津がそばに付き添ってくれていた。
「さっきの、『似たようなケースが他にもあった』っていう話、聞かせてもらえませんか」
高津は宇佐美の方をちらりと見た。宇佐美は小さく頷いた。
「小野寺さんには、いずれお話しするつもりでした。むしろ、今日お呼びした本当の理由は、こちらにあります」
宇佐美は少し言葉を選ぶように、間を置いた。
「小野寺さんが今日見せてくださった証言――特に、事故の光景を伴う視覚的なイメージは、これまでの目撃者の中でも、かなり特異なものです。こうした強い結びつきを見せる証言には、いくつかの過去の記録と重なる特徴が見られることがあります」
「いくつか、というと……一人じゃないんですか」
「ここ十年ほどで、似た傾向を持つ記録は、片手には収まらない数、蓄積されています。当研究所を訪れた方、あるいは訪れる予定だった方の中に、後に亡くなられた方が、複数いらっしゃいます。小野寺さんの証言に含まれていた、木造の建物の映像――それだけでは、正直、どなたを指しているのか、私どもにも断定はできません」
葉月は少し戸惑った。てっきり、直人のことだとばかり思っていた。
「ただ」宇佐美は続けた。「小野寺さんのお話にあった、事故当夜の電話の内容、時期、状況――それらを踏まえると、最も条件が一致する記録が、一件あります。もちろん、それが確定的な答えだとは、私どもも申し上げられません」
宇佐美は一冊の古いファイルを持ってきた。表紙には手書きで日付が記されている。三年前の日付だった。
「これは、佐伯直人さんという方に関する記録です。条件が一致する、という段階のものだと、まずご理解ください」
葉月は息を止めた。
「直人が……ここに、来たことがあるんですか」
「はい、条件の上では。事故に遭われる、約二週間前のことです」
ファイルには、直人の名前、生年月日、そして簡単な聞き取りの記録が記されていた。「幼少期より、周囲に説明しがたい光を感じることがあった」「友人の死後、その感覚が強まったと自覚」「本人の希望により、観測実験を一度受けている」
「友人の死……直人は、誰か亡くしていたんですか。私、聞いたことが……」
「大学時代のサークルの先輩が、直人さんが二十歳の頃に病気で亡くなっているという記録があります。その後、直人さんもオーブを見るようになったと、当時のヒアリングで話されています」
葉月は言葉を失った。三十年近く一緒にいたのに、知らなかった。直人がずっと、同じものを見ていたことを。
「直人は、なぜここに来たんですか」
「詳しい理由までは記録がありませんが、面談を担当した職員のメモには、こう書かれています。『自分と同じものを見ている人間が、身近にいる気がする』」
葉月の目から、涙がこぼれた。
「……私のこと、だったんですね、それ」
「断定はできません。ですが、可能性としては、十分に考えられます」
葉月は、あの夜の電話を思い出していた。「今から行くところがあるから」――直人はあの夜、ここに向かっていたのかもしれない。二度目の面談のために。葉月に何かを伝える準備をするために。
事故はその途中で起きた。
「……もし、あの日、直人がここに来ていたら」
「小野寺さん」高津が優しく遮った。「起きなかったかもしれない可能性を数え上げるのは、あまり良いことではないと思います。むしろ、直人さんが伝えたかったことを、今、あなたが自分の力で見つけ始めているという事実の方が、大事なんじゃないでしょうか」
葉月は涙を拭いながら、頷いた。
「私、直人が何を伝えたかったのか、知りたいです。ちゃんと」
宇佐美は静かにファイルを閉じた。
「そのためには、もう一度、装置を使う必要があります。ただし今回は、これまでよりも踏み込んだ実験になります。小野寺さんの意思を、改めて確認させてください」
「やります」
葉月は迷わず答えた。
第七章 五・五感を渡る者たち
二度目の実験は、翌日の朝に行われた。今回は、宇佐美と高津に加え、もう一人、研究所の技術主任だという初老の女性、大野が立ち会った。
「今日は、装置の出力を通常の一・五倍まで上げます」大野が装置の調整をしながら説明した。「その分、負荷も大きくなります。少しでも異常を感じたら、すぐに教えてください」
葉月は頷き、椅子に座った。
「一つ、お伝えしておきたいことがあります」宇佐美が装置のスイッチに手をかけながら言った。「私どもがこれまでの研究で辿り着いた、もう一つの仮説です。もしかすると帯域Bにいる存在――便宜的に『対岸の意識』と呼びますが――彼らもまた、こちら側に何かを伝えようと、常に試みているのかもしれません。ただ、帯域の壁は双方向にとって厚く、多くの場合、その試みは失敗に終わります」
「オーブが、ただ漂っているように見えるのは……」
「伝えようとして、伝わりきらない状態なのかもしれません。犬笛のように、音は出ているのに、受け手の感度が足りずに聞き取れない」
葉月は目を閉じた。装置が動き出す、低い唸り。
今回は、光が現れるまでの時間が短かった。まぶたの裏に、すぐにあの光の粒が浮かび上がる。前回よりもさらにはっきりとした輪郭。そして、光の内側に揺らめく模様が、まるで文字のようにも、表情のようにも見えた。
――直人。
葉月は強く念じた。
――伝えたかったこと、教えて。
光が大きく脈打った。そして、頭の中に、輪郭のはっきりしない何かが流れ込んでくる感覚があった。声ではない。言葉でもない。強いて言えば、温度のようなもの。凪いだ水面のような、静かな圧。それを「安心」と呼ぶべきか、「詫び」と呼ぶべきか、「感謝」と呼ぶべきか、葉月自身にも判別がつかなかった。ただ、敵意でも、恐れでもないことだけは、はっきりと分かった。
映像も見えた気がした。今度は事故の夜ではなく、もっと昔の記憶に似た何か――団地の裏の秘密基地、二人で笑っている子供の頃の光景。そして、もう一つ。葉月の記憶にはない光景。大学のサークルの先輩らしき人物と、若い直人によく似た誰かが、夕暮れの河川敷を並んで歩いている。
「先輩……」葉月は無意識につぶやいていた。
けれど、それが本当に「記憶」なのか、それとも今、光を見つめる葉月自身が、無意識のうちに描き出してしまっている想像なのか、境目は曖昧だった。研究所の誰かが以前言っていた。帯域Bの情報は、受け手の知覚を通して初めて像を結ぶ、と。だとすれば、この光景は、直人が見せているものなのか、葉月が直人という存在に託して見ている、自分自身の願いなのか。
それを確かめる術は、どこにもなかった。
映像がゆっくりと薄れていく。最後に残ったのは、電話越しの、あの夜の声だった。「今から行くところがあるから、また今度連絡する」――不安げではなく、どこか穏やかな声だったと、葉月は今更のように思い出した。
「……直人、なの?」
光は答えなかった。ただ、ゆっくりと明滅を続けるだけだった。頷いているようにも、瞬きをしているだけのようにも見えた。
葉月の頬を、涙が伝った。それが確信の涙なのか、確信を持てないことへの涙なのか、葉月自身にも分からなかった。
第八章 閾覚研究所の意味
実験を終えた葉月は、しばらく声を出せずにいた。大野が体調を確認し、水を渡してくれた。
「小野寺さん、今見えたものを、無理のない範囲で構いませんので、教えていただけますか」
葉月は、震える声で、見た映像の全てを語った。子供の頃の記憶。知らなかった先輩の存在。そして、事故の夜、直人が本当は何をしようとしていたのか。
宇佐美は静かに聞き終えると、深く息をついた。
「小野寺さん。私どもがこの研究を続けている理由を、最後にお話ししてもよろしいでしょうか」
「はい」
「十五年前、私自身も、大切な家族を亡くしました。妻です。その後、私も同じようにオーブを見るようになり、科学者としての人生を、この研究に捧げることを決めました」
宇佐美の声には、これまでになく個人的な響きがあった。
「多くの人は、こう考えます。愛する人を亡くした人間が、悲しみのあまり幻を見るのだ、と。それは間違いではないかもしれません。ですが私は、十五年間、数百人の証言と観測データに向き合ってきて、一つの確信に近い仮説を持つに至りました」
「なんですか」
「悲しみそのものが、人間の知覚の閾値を、一時的に、あるいは恒久的に変化させるのではないか、ということです。深い喪失は、私たちの感覚の『蓋』を、わずかに緩める」
宇佐美は窓の外の山並みに目をやった。
「小野寺さん。五感の次は六感だと、誰が決めたのでしょうね」
「……どういう意味ですか」
「私どもは、いつからか、知覚には整数の段階があるものだと思い込んでいます。一感、二感、三感……六感。ですが、もしかすると、知覚は本来もっと連続的なものなのかもしれません。五・五感どころか、五・一感、五・二感、五・九九感というような、無数の途中があって、私たちはその、ごくわずかな範囲しか使えていないだけなのかもしれない」
宇佐美は少し笑った。「そう考えると、オーブが何であるかという問いよりも、私たちがどこまで感じられるようになれるか、という問いの方が、本当は大事なのかもしれません。直人さんが本当にそこにいたのかどうか、私には証明できません。証明できないことを、証明したふりで語るのは、科学者としての誠実さに反すると思っています」
それまで黙って記録を取っていた大野が、少し躊躇うように口を挟んだ。
「所長。小野寺さんには、あのデータのことも、お話ししておくべきではないでしょうか」
宇佐美の表情が、わずかに硬くなった。
「大野さん」
「隠すことではないと思います」大野は葉月の方を向いた。「小野寺さん。これまで観測してきたオーブの発光パターンには、実は、目撃者ごとの個体差がほとんどありません。周波数も、明滅の間隔も、驚くほど均一なんです」
葉月は眉を寄せた。「でも、宇佐美さんは、個体差があるから意志を持っているみたいだって……」
「動きの意志らしさには、確かに個体差があります。ですが、発光そのものの根本的なパターンは、ほぼ一つの型に収束します。まるで、同じ場所から届く、同じ種類の信号のように」
部屋の温度が、少し下がったように葉月には感じられた。
「つまり……直人だから、あの光だったわけじゃないってことですか」
「断定はできません」大野は慎重に言葉を選んだ。「ただ、私どもが立てているもう一つの仮説は――帯域Bから届く情報そのものには、実は『個人の形』はないのかもしれない、ということです。届いた情報を、受け取った側の脳が、最も意味のある形――多くの場合、失った大切な人の姿に、無意識のうちに変換しているだけなのかもしれません」
「翻訳、ということですか」
「はい。ラジオの雑音の中に、聞き覚えのあるメロディを聞き取ってしまうのと、似ているのかもしれません。雑音自体にメロディはない。でも、人間の脳がそこにメロディを見出してしまう」
葉月は、頭の中が静かに冷えていくのを感じた。ではあの、河川敷の記憶も、電話の声も、涙も――全部、自分の脳が作り出した、直人という名前の翻訳結果に過ぎないのだろうか。
けれど、同時に、別の考えも浮かんだ。もし本当に「個人の形がない情報」を、脳が翻訳しているだけなのだとしたら――その翻訳の精度は、いったい何を手がかりにしているのだろう。見ず知らずの誰かの記憶が、あれほど鮮明に、直人の癖や声のトーンまで再現できるものだろうか。
「大野さん」葉月は言った。「それなら、なぜ私の脳は、あそこまで直人そのものを再現できたんでしょうか」
大野は少し驚いたように葉月を見て、それから静かに答えた。
「それは、私どもにも分かりません。翻訳だとしても、翻訳される『元の情報』の中に、直人さんに関する何かが、本当に含まれていたのかもしれない。あるいは――」
「あるいは?」
「あるいは、翻訳という考え方そのものが、間違っているのかもしれません」
葉月は黙って頷いた。答えを急かされなかったことに、むしろ安堵している自分がいた。
「所長。この研究所は、これから何を目指しているんですか」
「大きなことは言えません。ただ、私どもにできるのは、壁を取り払うことではなく――その壁の分厚さを、ほんの少しずつ測っていくことだけです」
宇佐美は葉月の方を見た。
「小野寺さん。あなたの証言と、今日の観測データは、私どもの研究にとって非常に大きな一歩になります。もしよろしければ、これからも継続的にご協力いただけないでしょうか。もちろん、無理のない範囲で構いません」
葉月は少し考えてから、はっきりと頷いた。
「協力させてください。直人が伝えようとしていたことを、私だけのものにしておくのは、もったいない気がするので」
終章 5.5感の彼方に
東京に戻ってから、葉月の生活は表面的には何も変わらなかった。会社に行き、仕事をし、友人と食事をする。だが、心の中では、確かに何かが変わっていた。
オーブは相変わらず、時折視界の端に現れる。以前はその存在に戸惑い、怖がっていたこともあった。だが今は、静かに挨拶をするように、心の中で語りかけることができる。
――今日、こんなことがあったよ。
――ちょっと疲れてるから、そばにいてくれると嬉しい。
返事らしい返事が返ってくるわけではない。ただ光がゆっくりと明滅したり、近づいたり、遠ざかったりするだけだ。それでも葉月には、それが確かに「応え」であるように感じられた。
半年後、葉月は月に一度、閾覚研究所を訪れるようになっていた。観測実験に協力するだけでなく、直人と同じように、大切な人を亡くした他の目撃者たちの話を聞く機会も増えた。皆、それぞれの光を抱えて生きていた。皆、それぞれの仕方で、聞こえない周波数、見えない周波数と、折り合いをつけようとしていた。
ある晩、研究所からの帰り道、葉月は駅のホームで電車を待ちながら、ふと空を見上げた。都会の空にも、まばらに星が見える。
星の光もまた、何万年も前に発せられた光が、今ようやく届いているものだと、直人がいつか話していたのを思い出す。時間の隔たりを越えて届く光。あのオーブの光も、どこかそれに似ている気がした。
視界の端に、小さな光が現れた。葉月は驚かず、微笑んだ。
これが直人なのか、それとも自分が見たいものを見ているだけなのか、今もまだ分からない。分からないままでいいのだと、最近は思えるようになった。
「今日もちゃんと、前に進めてるよ」
光がゆっくりと近づき、そして、まるで頷くように、静かに明滅した。
犬笛がそうであるように、僕ら人間には聞こえない周波数の音がある。だとすれば、見えない周波数もあるのだろう。五感というが、その次もまた、きっと存在していて。六感、七感、それ以上が、きっと感じずとも目の前にあるのだろう。
もしかすると、そのひとつに、オーブたちが存在し。
わずかに見え出した葉月は、五・五感あたりを、今も彷徨っている。
電車がホームに滑り込んでくる。葉月は光に小さく手を振ってから、乗り込んだ。
窓の外に、光はもう見えなかった。それでも葉月は、もう探さなかった。
聞こえない音がある。見えない光がある。そして――知らないからといって、存在しないとは限らない。
電車が走り出した。葉月は窓に映った自分の顔を、ぼんやりと見つめた。
その肩のすぐ後ろを、ほんの一瞬だけ、小さな光が通り過ぎた気がした。
振り返っても、そこには何もなかった。ただ、窓ガラスに映ったその光は、一瞬だけ、いつもよりわずかに――色が違って見えた気がした。
気のせいだと、葉月は思うことにした。
――完――
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あとがき
『5.5感』を最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この物語を書き始めたきっかけは、とても単純な疑問でした。
人間には五感がある。
では、その「五」という数字は、いったい誰が決めたのだろう。
視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚。
私たちはそれ以外にも、平衡感覚や温度感覚、痛覚など、実際にはさまざまな感覚を持っています。
そう考えていくと、「五感」という言葉そのものが、少し不思議に思えてきます。
そして、犬笛のことを考えました。
人間には聞こえない音を、犬は聞いている。
紫外線は、人間の目には見えない。
赤外線も見えない。
つまり私たちは、この世界を「そのまま」見ているわけではありません。
人間という生物に与えられた、ごく限られた窓から世界を見ている。
そう考えると、
見えないものは、本当に存在しないのだろうか。
そんな疑問が生まれます。
もちろん、科学的に証明されていないものを、存在すると断言することはできません。
だから、この作品では最後まで答えを決めませんでした。
オーブは死者の魂なのか。
未知の周波数なのか。
人間の脳が作り出す知覚なのか。
あるいは、そのどれでもないのか。
私は、読者の皆さんにその答えを委ねることにしました。
葉月が見た光を「直人だった」と思ってもいい。
「葉月自身の記憶だった」と思ってもいい。
「本当に未知の何かだった」と考えてもいい。
もしかすると、三つとも同時に正しいのかもしれません。
科学と心霊。
現実と記憶。
存在と認識。
その境界には、まだ名前のない広大な領域があるのかもしれない。
この物語では、その場所を勝手に、
「5.5感」
と呼びました。
五感では説明できない。
けれど、六感と呼ぶほど大げさでもない。
その中間にある、ほんの少しだけ開いた感覚。
もし人間の知覚が、完全に閉じたものではないのだとしたら。
私たちは今この瞬間も、知らない何かのすぐそばで生きているのかもしれません。
最後にもう一度。
犬笛を吹いても、人間には聞こえません。
だからといって、音が鳴っていないわけではありません。
見えないから存在しない。
聞こえないから存在しない。
感じないから存在しない。
本当にそうなのか。
その答えを考えることもまた、人間に残された一つの「感覚」なのかもしれません。

