ご挨拶

来年のことを話すと鬼が笑う
なんて言うけれど…

そんな遠い未来よりも
今日を
明日をと
昨今 強く思うのは
やはり老いたからなようで

今夜寝て
明日起きる保証など ない現実

ならば今をと
今 出来ることは 今と

そして
生きた証をも
何かを残せないかと

そんなことを
思う齢となった…

そのひとつが
落書きで
それでも飽きたのか
600枚で止まったまま…

ではと見つけたのが
勝手な物語
Amazon Kindleのそれも
今週で80話となり

ならば落書きのような
バカバカしい物語を
いくつ残せるかと 
笑いながらの 格闘中

そんなことだよ
ご同輩… 笑

さて今週もまた
制限いっぱいの10話を載せまして
すると
選ばれなかったものがいくつも残って

ではとそれを
ここに…




『恋愚確率 〇・五パーセント』

── ゼロじゃない恋について



〜まえがき〜


恋愛とは、不思議なものです。


世の中には、恋愛マニュアルがあり、恋愛心理学があり、恋愛運を上げる待ち受け画像まであります。

けれど結局のところ、人が誰を好きになるのかは、最後までよくわかりません。


もし、それが数字で分かったらどうなるのだろう。


そんな、少し愚かで、少し切実な疑問から、この物語は始まりました。


主人公・桃山恋太郎は、恋愛を数式で説明しようとする男です。

感情を測定し、両想い確率を計算し、人の心を「見える化」しようとします。


けれど、恋愛とは本来、測れないから苦しく、分からないから飛び込むものなのかもしれません。


〇・五パーセント。


低い数字です。

絶望してもおかしくない数字です。


でも、ゼロではありません。


この物語は、その「ゼロではない」という話です。


笑っていただけたら嬉しい。

少し切なくなっていただけたら、もっと嬉しい。

そして読み終えたあと、誰かの顔が少し浮かんだなら、作者としてとても嬉しく思います。



プロローグ

 誰が調べたのか知らないが、両想いになる確率は〇・五パーセントだそうだ。

 つまり、千人の中に五人。二百人に一人。

 この数字を聞いたとき、世界中の恋愛研究家たちがうなずき、世界中の恋人たちが首をかしげ、そして世界中の独り身たちが静かに膝を抱えた。

 僕は膝を抱えた側の人間だ。



第一章 装置の誕生、あるいは最悪の発明

 国立感情計量研究所(通称「カンジョーケン」)の地下三階、蛍光灯が半分しか点いていない薄暗い実験室で、桃山恋太郎はまたひとり泣いていた。

 三十二歳。身長百六十七センチ。体重六十二キロ。特技は特になし。趣味は惚れること。

 職業は「感情物理学者」——そんな学問が存在するのかと問われれば、存在するから僕がいるんです、と答えるしかない。感情を数式で表し、恋愛を波動関数で記述し、愛の質量を計測しようとする、世間からは完全に無視されている学問分野だ。

 予算は年間三十万円。助手はゼロ。論文の引用数はここ五年で合計二件(うち一件は恋太郎自身による自己引用)。

「また失敗か」

 恋太郎は手元のコーヒーをすすり、モニターに映し出された数式の海を眺めた。彼が今取り組んでいるのは「相互感情共鳴方程式」の完成だ。簡単に言えば、AがBに恋をしているとき、BもAに恋をしているかどうかを数学的に予測する式である。

 きっかけは七年前、大学院生だったころに失った恋だった。

 彼女の名は水谷澄香。同じ研究室の先輩で、書類仕事が苦手で、いつもインクのにおいがして、笑うと左の頬だけにえくぼができた。恋太郎は半年かけて告白の言葉を練り、一年かけて勇気を貯め、ようやく「好きです」と言えた日、澄香は「ごめんね、先週から別の人と付き合ってる」と言った。

 その男が誰か聞いたら、恋太郎の親友の名前だった。

 世界は残酷だが、恋太郎が腹を立てたのは世界にではなく、自分の「感知能力のなさ」に対してだった。なぜわからなかったのか。なぜ読めなかったのか。もし、ちゃんと確率が計算できていれば——。

 そこから七年。恋太郎の研究は続いた。

 感情は振動する。好意はある種の電磁波に似た波動を持つ。ふたつの心が共鳴しているとき、そこには測定可能な「感情場」が生まれるはずだ。理論は美しかった。問題は、実験が全くうまくいかないことだった。

「〇・五パーセント……」

 ある夜、恋太郎はネットで拾った統計を眺めながらつぶやいた。両想いの確率、〇・五パーセント。

 ——低い。低すぎる。でも、もしこの数字を事前に「その人との間で」計算できたとしたら?

 その夜、恋太郎の頭の中で何かがカチリと音を立てた。

 翌朝、彼は設計図を書き始めた。

 装置の名前は「LOVEDAR(ラブダー)」。Love Over Vector Error Detection and Radiation の略で、日本語に訳すと「愛の過誤ベクトルを検出し放射する装置」となるが、略称の語呂を優先したため意味は二の次だ。

 原理はこうだ。人間の感情は微弱な電気信号として脳内に生じ、皮膚表面にもごく微量の「感情電磁場」を形成する。ふたりの人間が互いに好意を持っているとき、それぞれの感情電磁場は特定の周波数で共鳴する——はずだ。その共鳴を検出することで、両想い確率をリアルタイムで算出する。

 問題は「はずだ」という部分で、この仮説は恋太郎が自分で考えたものであり、世界中の誰も証明していないし、むしろ「そんなもの存在しない」と言われている。

 それでも、恋太郎は三年かけて作った。材料費の多くはポイ活で稼いだ楽天ポイントで賄った。回路基板はジャンクショップで買い集めた。完成した装置は、古いウォークマンとガイガーカウンターと体温計を合体させたような見た目で、ポケットに入るサイズだった。ディスプレイには〇から一〇〇の数値が出る。これが「両想い確率」だ。

「さて、テストしてみるか」

 廊下の向こうから、受付の長瀬さんが歩いてきた。四十代、既婚、子供三人。

 恋太郎は装置を向けた。表示:「2」

「……まあそうか」

 次に、廊下の突き当たりで立ち話をしていた大学院生のカップルに向けてみた。表示:「87」

「お、高い!」

 そのとき、背後から声がかかった。

「あの、何やってるんですか」

 振り返ると、白衣を着た女性が立っていた。二十八歳くらい。少し猫背。黒縁眼鏡。左の頬にえくぼはない。でも、首を少し傾けて不思議そうに恋太郎を見る表情が、なんというか、いい。

 恋太郎の手が、反射的に装置を彼女に向けた。表示:「31」

「何の数字ですか、それ」と彼女は言った。「私、隣の生命科学科の中田です。なんか変な電波出てるって苦情が来て」

「変な電波?」

「マウスが全員おかしな行動をし始めたって」

 ラブダーの副作用だった。感情電磁場の検出装置は同時に微量の電磁波を放射する設計になっており、それがマウスの神経系に干渉していたらしい。

「す、すみません」

「謝るよりも説明してください」と中田は言った。眼鏡を押し上げ、装置を指差した。「それ、何ですか。面白そう」

 ——面白そう、と言った。

 恋太郎の胸の中で、何かが小さく灯った。

 表示が「31」から「32」に変わった。

 気のせいかもしれない。でも恋太郎は、その一ポイントの上昇に、ひどく胸を騒がせた。



第二章 〇・五パーセントの意味

 中田葵(なかた・あおい)は生命科学の研究者で、専門は「感情と遺伝子発現の相関」だった。つまり、恋太郎とは遠い親戚みたいな研究をしていた。

 ふたりは研究所の屋上に座り、缶コーヒーを飲んでいた。恋太郎が装置の説明をし、葵が「ほほう」と言う、という会話が二十分続いた。

「知ってますか、両想いになる確率が〇・五パーセントだって説」

「聞いたことはあります」と葵は言った。「根拠は怪しいですけど」

「僕もそう思います。でも〇・五パーセントって、低いじゃないですか。二百人に一人。じゃあ、どうすれば確率を上げられるか、って考えたんです」

「告白しまくればいい」

「そうじゃなくて。闇雲に告白しても傷つくだけだから——相手との間に共鳴があるかを事前に確認できれば、って」

「じゃあ」葵は少し身を乗り出した。「これ、私に向けたとき、数字いくつでした」

「…………」

「三十二ですか?さっき見えちゃったんですよね」

 恋太郎の耳が熱くなった。

「三十二って、どういう意味ですか」

「三十二パーセント……の確率で両想いに……」

「平均は?」

「ランダムな二人だと三から七ぐらいで……」

「じゃあ高いじゃないですか」

 葵は立ち上がり、スカートの埃を払った。「面白い装置ですね。また見せてください。マウスを狂わせない改良版を作ったら」

 そう言い残して、彼女は階段へ消えた。

 恋太郎はラブダーを見下ろした。表示はいつの間にか「38」になっていた。

 ——これは、希望なのか。

 翌日、研究所内に噂が広まった。「地下三階の変な博士が、恋愛を計測する装置を作った」

 反応は三種類だった。一、笑う(主に同僚)。二、怒る(主に倫理委員会)。三、興味を持つ(主に独身研究者)。

 内線電話が鳴った。「所長の権堂です。今すぐ会議室に来てください」

 権堂所長は六十五歳、白髪、眉毛が濃く、笑ったことが観測されたことがない男だった。

「桃山君、君の装置は問題がある。一点目、他者の感情を無断で計測することはプライバシーの侵害だ。二点目、マウスへの電磁波干渉は動物実験規定違反の可能性がある。三点目——なぜ君は、世間の最先端研究者も諦めた感情計測に、ジャンク部品で挑んでいるのか」

「……諦めていないからです」

 会議室が静まりかえった。

「僕は七年前に好きな人に告白できなかった。それが悔しくて研究を始めました。告白する前に、ちゃんと可能性があるかどうか分かれば、傷つく人が減ると思ったんです。それだけです」

 権堂は眉を動かした。眉間の縦皺が、ほんの少し浅くなった。

「……君、彼女はいるのか」

「いません」

「そうか。改良版の開発を続けていい。ただし——中田葵君を共同研究者にしなさい」

「なぜ中田さんを?」

「彼女が志願してきたから」と権堂は言った。「君の装置が面白いと言って」

 その瞬間、恋太郎のポケットの中でラブダーが小さく震えた。

 表示は見えなかった。でも、数字が上がった気がした。



第三章 大谷問題

 共同研究が始まって二週間後、恋太郎はひとつの根本的な問題に直面した。

「大谷問題」である。

 確率を操るもうひとつの変数、それは「器量」だ。顔面偏差値、コミュニケーション能力、経済力、ユーモア——これらすべてが合算されて「器量」となり、器量の高い人間は多くの人に好かれやすい。

 同じ〇・五パーセントでも、大谷翔平に向けたラブダーは恒常的に高い数値を示すはずだ。

「僕のベースライン、測ってみてください」

「出た」と葵は言った。「……器量指数、三十四・七」

「百点満点で?」「うん」

「平均は?」

「一般成人男性の平均は……五十一・三」

「……平均以下か」

「誤差の範囲かも」葵は言ったが、声が少しだけ上ずっていた。

 器量指数三十四・七の恋太郎の場合、計算上——両想いになるためには、ベースラインで約四百十三人に出会う必要がある。

「四百十三人……」

「落ち込まないでください。器量って後天的に変えられる部分もありますから」

「どのくらい変えられますか」

「理論上は……最大で二十ポイント前後」

「それでも平均以下ですね」「……うん」

 そのとき恋太郎の頭にアイデアが降ってきた。

「葵さん、大谷のデータ、取れませんかね。極めて高い器量指数を持つ人間の感情場データを解析すれば、低器量でも感情共鳴の効率を上げる方法が見つかるかもしれない」

「面白い。でも超高器量者のデータなんてどこで……」

 そのとき、廊下の向こうからひとりの男が歩いてきた。

 白衣でなくスーツ。背が高く、顎が割れており、歩き方に無駄がない。すれ違う研究員が全員振り返った。女性だけでなく、男性も。廊下の空気が変わった。

「誰ですか、あの人」と恋太郎はつぶやいた。

「知りません」と葵は言ったが、目が少し泳いでいた。

 恋太郎は反射的にラブダーを向けた。表示:「器量指数 89・3」

「……化け物だ」

 男は立ち止まり、振り返った。「失礼、研究所の方ですか。総務省から参りました、黒澤と申します。所長室はどちらでしょう」

「あ、あっちです」と葵は言い、恋太郎の脇腹を肘で突いた。

「あっちです」と恋太郎も言いながら、こっそりラブダーのデータを保存した。

 黒澤が去ったあと、葵がため息をついた。

「……データ、取れましたか」「取れた」「良かった」

「葵さん、あの人、好きですか」

 葵は少し間を置いた。「顔がいいとは思いました」

「数値が出てました。葵さんの感情場、黒澤さんに向けたとき揺れてました。四十三」

 葵は黙った。恋太郎も黙った。

 ラブダーのディスプレイを、恋太郎はそっと裏返した。

 現在の自分と葵の間の共鳴値。それを今は見たくなかった。



第四章 炎上と奇跡

 研究が世間に知られたのは、学会発表の三日後だった。

 聴衆のひとりがツイートした。「両想い確率を測る装置を作った科学者がいるらしい。マジならヤバい」

 これが五千リツイートされた。翌日、テレビのワイドショーが取り上げた。恋太郎の顔写真(学会IDカードの写真、最悪の角度)が全国放送された。

 その週末、カンジョーケンの前に約二百人が集まった。全員、ラブダーを使わせてほしいと来た独身者たちだった。

「先生!」「測ってください!」「彼氏と両想いか確認したい!」

 権堂所長が言った。「事態は君たちの想定を超えた。選択肢は三つ。一、研究を非公開にして静観する。二、装置を公開してサービス化する。三、装置を破棄して謝罪する」

「三は嫌です」と恋太郎は即答した。

「二は倫理的に問題がある」と葵は言った。

「所長、ひとつ提案があります」

 その日の夕方、恋太郎はマイクを持って群衆に向かって話した。

「ラブダーは実験段階の装置で、正確性は七十二パーセントです。完璧ではありません」

 群衆がざわめいた。

「でも、僕がこれを作った理由を聞いてください。七年前、好きな人に気持ちを伝えられなかった。それが悔しかった。だから——告白する前に、ちゃんと希望があるかどうかを知りたかった。それだけです」

 静かになった。

「両想いになる確率は〇・五パーセントだと言われています。低い。でも、〇・五パーセントは、ゼロじゃない。この装置は、その〇・五パーセントが今目の前の人との間にあるかどうかを、少しだけ照らし出す懐中電灯です」

 誰かが拍手した。それが広がった。

 恋太郎はそこで言葉を切り、葵のほうを向いた。

 葵は壁際に立って、腕を組んで、眼鏡の奥の目で恋太郎を見ていた。

 恋太郎はポケットからラブダーを取り出した。葵に向けた。

 表示:「61」

 六十一。七年前、澄香に向けたとき数字は三だった(あとでシミュレーションしてみた)。六十一は、恋太郎がこれまで計測した中で、最高値だった。

「葵さん」とマイクを持ったまま言った。群衆が静まり返った。「今から告白していいですか。二百人が見てます」

「人前でするんですか」

「六十一パーセントの勝算があります」

「六十一パーセントの勝算で人前で告白する科学者がいますか」

「います。僕です」

 誰かが笑った。また笑いが広がった。

「……だから感情場が揺れてるって言ったじゃないですか」と葵は言った。小さな声で。でもマイクが拾った。

「先週から、ずっと揺れてます。先生のせいで」

 群衆がどよめいた。

 ラブダーが震えた。「61」から「63」へ。そしてすぐ「65」へ。数値が上がり続けた。

「感情場が共鳴してると、数値が上がるんでしたっけ」と葵は静かに言った。

「七十超えたら、どうなりますか」

「超えたこと、ないんで……」

「じゃあ実験しましょう」と葵は言って、歩いてきた。

 ふたりの距離が縮まった。

 ラブダーの表示は「72」だった。

 七十二パーセントの正確性を持つ装置が、七十二パーセントの共鳴を検出した。

 これは何かのサインかもしれない。あるいは、ただの偶然かもしれない。

 でもどちらでもよかった。



第五章 〇・五パーセントの先にあるもの

 それから二年が経った。

 ラブダーはver.4.0になった。論文の引用数は三百四十七件になった(うち自己引用は三件)。国際感情科学会ではスタンディングオベーションが起きた。

 そして桃山恋太郎と中田葵は、入籍した。

 結婚式で権堂所長は言った。「桃山君、私はあの日、君が倫理委員会の前で七年間の失恋の話をした瞬間、この研究はものになると思った。感情を計測しようとする人間に、感情がなければ意味がない」

 恋太郎は泣きそうになったが、ぐっとこらえた。隣の葵は涙をぬぐいながら笑っていた。

 披露宴の後半、ふたりはテラスに出た。夜の空に星がいくつか見えた。

「ねえ、今、ラブダーの数値、いくつだと思いますか」

「測ってないですよ」

「ないほうがいいですか」

 恋太郎は少し考えた。「ないほうがいいかな、と思うようになりました」

「なんで?」

「確率って、あくまで出発点だから。六十一パーセントで告白しても、そのあとどうするかは数字の外にある。言葉を絶やさないとか、隣にいるとか、そういうことは計測できない」

 葵は恋太郎の肩に頭を乗せた。「研究者らしくない発言ですね」

「研究者としては失格かも」

「でも旦那としては合格です」

 しばらくして葵が言った。「あの黒澤さん、覚えてますか。器量指数八十九・三の」

「覚えてます」

「先週、お見合いが失敗したって。相手の女性が、顔が整いすぎていて緊張して話せなかったって」

 恋太郎は笑い出した。「大谷問題の逆転現象だ。器量が高すぎると、相手の感情場が萎縮する。共鳴が起きない」

「桃山先生、三十四・七で良かったですね」

「ひどい」

 葵も笑った。

 しばらく、ふたりは星を見た。

「〇・五パーセント」と恋太郎はつぶやいた。「誰が調べたんでしょうね」

「さあ」

「でも、〇・五パーセントでも、ゼロじゃなかった」

「ゼロじゃなかった」と葵は繰り返した。



 エピローグ

 ラブダーver.4.0の計測精度は八十一パーセントに向上した。しかし、ふたりはその後、個人での使用をやめた。

 理由を聞かれると、恋太郎はこう答えるようになった。

「数字がなくても、となりにいますから」

 葵はそれを聞くたびに「また詩人みたいなことを」と言い、眼鏡を押し上げた。

 左の頬に、えくぼはない。でも、笑うと目が少し細くなる。

 それで十分だった。



本作はフィクションです。ただし、両想い確率〇・五パーセントという統計については、著者も出典を知りません。



Amazon Kindle



〜あとがき〜


最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。


『恋愚確率 〇・五パーセント』は、恋愛小説であり、SFであり、そしてたぶん、「うまく生きられなかった人たち」の話でもあります。


人は誰でも、一度くらいは思うのではないでしょうか。


「最初から分かっていたら、傷つかなかったのに」と。


告白する前に。

好きになりすぎる前に。

期待してしまう前に。


もし数字で答えが見えたなら、人はもっと上手に恋愛できるのかもしれません。


でも物語を書き終えた今、作者自身は少し違うことを思っています。


たぶん、人は「分からない」から恋をするのです。


成功率が低いから、勇気が必要になる。

不確実だから、人は相手の言葉を待ち、表情を読み、隣にいようとする。


恋太郎が最後に辿り着いた答えは、とても不器用で、非効率で、科学的ではありません。


けれど、それが人間らしい答えだったように思います。


ちなみに、作中で何度も登場する「両想い確率〇・五パーセント」という数字ですが、作者も本当に出典を知りません。

ネットの海には、時々こういう“それっぽい数字”が漂っています。


ですが、不思議なことに、恋愛には妙に似合う数字でした。


もしこの作品を読んで、昔好きだった人を思い出した方がいたなら。

あるいは、今隣にいる誰かを少し大切にしたくなったなら。


ラブダーの実験は、たぶん成功です。





〜紹介文〜


『恋愚確率 〇・五パーセント』


――両想いになる確率は、わずか〇・五パーセント。


恋愛を数式で解明しようとする“感情物理学者”桃山恋太郎は、ある日「両想い確率」を測定する装置《LOVEDAR(ラブダー)》を発明してしまう。


好きな相手との共鳴率をリアルタイム表示。

失恋を未然に防ぐ、夢の装置。


……のはずだった。


研究所は大騒ぎ。

倫理委員会は激怒。

独身研究者たちは行列を作り、マウスは謎の興奮状態に。


そんな中、共同研究者として現れたのは、少し猫背で理屈っぽい生命科学者・中田葵。


彼女にラブダーを向けた瞬間、表示された数字は――「31」。


これは希望なのか。

それとも、また勘違いなのか。


笑えて、少し切なくて、やたら理屈っぽい。

理系恋愛SFコメディ、ここに誕生。


「〇・五パーセントでも、ゼロじゃない。」