通り掛かった道沿いに
かつて
寅さんがいたバス停があって
思わず立ち止まる
六合村から
草津町へと登る 旧峠道
すでに
路線バスは廃止となり
それでも
このバス停だけは
ここに残されたまま
ロケから
45年もが過ぎて
ガードレールは設置され
もう乗り降りの客はいない
それでもこうして
僕のように
わずかでも想いを残す者たちが
時折 訪れては
思いにふける
男はつらいよ は
全部 観た
すれば
時折 こうして通る場所が
かつてのそこだと気付くことがある
あと3年も経てば
寅さんの齢に
並ぶまでに来たこの身体
今まだ
何も残してはいないし
何ひとつ届いてもいない
名を残すことなく
この時代に消えるのだろうが
それで良いと思っている
物は
バス停は
長い年月 ここに残るが
人間たちは
その姿を見事に消し去る
明日にはまた
違うどなたかが来て
それぞれの想いを
ここで噛み締めるのだろう
そんなことだよ
ご同輩…







