あの頃
憧れたバイク乗りは
いつもそこにいて

年に1度
ご挨拶に訪れる…




年に1度も
もう23回ともなり
今年はわずかに遅れた
山の古寺

おそなりましたと
一礼し
山の上からの風景を眺めれば
23年前と変わらずそこにある

変わったのは
いつの間にか
ロン毛さんより
ひと回りも齢を越したこの身体と

周辺に増えた
墓石の数



桜はその姿を終えて
周囲の緑は
チラチラと葉を付け始め

春は
もうすぐ夏に
その場所を奪われる

小鳥たちは
ここぞとばかり
声を張り上げ
パートナーを探す

墓誌をと見れば
改めて
53だったかと
身震いするが
もう何も届かない

ここ数年
あと何度? と思うばかり

覚えていた者が
出掛けられる立場ならばで良い

花はきっとあるだろう
ならば
酒好きだったオヤジさんには
花より団子とばかし
酒を持参するが

それでも
もう
あの頃の仲間たちの
足跡はない

仕方なくも
そんなことなのだろう

人間は2度死ぬという
1度目は肉体の死
2度目は忘れられた死

ならば
その2度目は
僕が食い止めようか…



遠方ゆえ

今年は予定していた

草津からの帰りに回り込もうかと思い

わずかに遅れた墓参


そこから

自宅のオカミさんにと寄り込めば

1年分の長話となり

時間の経つ

あまりの早さに

また振り返るばかり…