自転車を新調し
遠くまで
そうだ
海へ行こうと漕ぎ出した
大きなタイヤのこれは
とても快適に走ってくれる
どこへ? と思いながら
走ってみれば
あの日の海がと
目指している
外房の
志田下だ
そうだ
いつかの五輪での海岸には
いくつもの
想いが残っている
この国
屈指の手強い波だ
あの頃
ゴタゴタ揉めたローカルたちは
もういない
五輪の誘致で
すっかり綺麗になり
人も増えた
しばらく
佇んで眺めていよう
おや
あいつがいる
なぜだ?
間違いない
相棒だ
とても楽しそうに
波に乗っている
おーい! と
手を振れば
やあ と
戻って来た
近づくと…
いや
でも
近づけない
砂浜には
目に見えない
結界があるような…
前へと進めば
更に遠退いて行く
ありがとう と
聞こえた氣がしたが
どんどん遠ざかり
景色ごと消えてしまった
ここは
畑の中の
真っ直ぐな道
僕はまた
ひとり
快適に
自転車を漕いでいる
さて
遠くまで来てしまった
そろそろ帰らねば
明日は
入院だった…
そこで
目が覚めた
あいつ
心配して
会いに来てくれたのかな




