その車
イカしてるわね と微笑んで
助手席のドアを開け
勝手に乗り込んで来たのは

紛れもなく
キャンディクラークで

それは
ガキの頃 
その映画で憧れた彼女ではなく

白いサンダーバードの
金髪美女なのにと嘆いてみれば
その
黄色いデュースクーペは

いつの間にか
白いサンダーバードとなり
キャンディクラークもまた
その金髪美女に変わっていた



えっ? って
唾を呑み込んでみれば
それはわずか一瞬の出来事で

やっぱり
キャンディクラークかと
諦め顔してみれば

その姿はまた
金髪美女へと戻り

でも
車は黄色いデュースクーペのまま



すると
今度は
オバさんの姿となり

誰? って問うと

あたしよ
キャンディよ なんて
老いた今の姿らしい

えーっ! と
嘆いてみれば
また
白いサンダーバードとなり
金髪美女が微笑んでいる

そんなことが
何度も繰り返されながら
アメグラの姿の
キャンディクラークに
キスされて
飛び起きた今朝

そうだ
どこかにあったはずと
あの日
LAで手に入れた
彼女のサインを探してみれば

結構 大切に保存されていて
なるほど
これも今ならお宝かと
微笑んでみるが分からない



僕の中では
バックトゥーザフューチャーに次ぐ
大好きな映画で

中学の時
斜に構えた仲間たちと
これ観たさに
有楽町まで出掛け彷徨った

帰りには
1-2-3オクロック
4オクロック ロック…

なんて
口ずさんでいたっけ



60年代の
ロックンロールに憧れ
原宿のクリームソーダを目指し

ポマードに
コンポラに
ラバーソールなんて
競ったわりに

そんなブームは
短くも終わり

結局
小遣いが足りなかった
中学生たちは

いつも
そんな
それぞれの入口まで辿り着けど
そのドアは開かなかった

そんな頃
先頭に立って
リーバイスの501を誇らしく履き
アメリカを目指していた
隣りのクラスの青木くんは

その後
高校を出ると
サンフランシスコへと向かい
古着屋の世界へと入り
帰国後
原宿にそんな店を構えたけれど

それもまた
時の流れに呑み込まれてしまい
今は
行方不明なんて…

これもまた
アメリカングラフィティのようで
映画の終わりに
その後の彼らの行方を
さらりと流して哀愁を誘うかのよう




ベトナム戦争もまた
時代を変えた出来事で
あれからアメリカという国は
常に戦争へと加担し続けているのは

それが莫大なカネを
産むからなのだろう

寝起きに
ふと
思い出したキャンディクラークに
いつか
会えるような
そんな氣がしてるのは
なぜだろうか…