ひとり
宇宙を漂っている
船外活動で
ワイヤーが外れてしまったらしい

もはや
これまでかと思っていたら
光る宇宙船が
突然 目の前に現れた

ゆっくりとドアが開き
お待ちしておりましたと
誰かの声

助かった! 
ありがとうと乗り込めば
そこは宇宙船ではなく
長いトンネルになっていて

歩く歩道のように
暗闇の奥へと運んで行く
これがブラックホールか?

しばらくすると
光る点が見えて来て
ようやくかと思う間もなく
押し流された



周囲を見れば
真っ暗な世界

それでも
夜空には数えて切れないほどの
黒い部分よりも
多い星の数

なるほど
かつて地球からも
これだけの星が見えていたのかと
眺めてみる

やがて
夜は開けて
太陽が現れた

しかし
そのスピードはあまりにも早く
すぐに過ぎ去って行く

するとまた
太陽は昇り

おや
さっきの赤い太陽ではなく
今度のは
黄色い太陽だ

すればそれもまた
わずかな時間で沈み
次は
青い太陽が昇って来た

まるで
信号のように繰り返すそれは
どうやら3つの太陽が
降り注ぐ星で

ここはいったい? と
思っていれば
目の前に穴が現れて
そこから
小さな生物が顔を出した

彼らは半透明で
その姿が分からない

聞けば
地上は危険で
地下で暮らしているらしい

なぜ? と問えば
ここは
かつての地球だと言う

そして
バカな人間たちは
核と共に滅んでしまったと笑う

すると
あのトンネルは
タイムトンネルだったのかと問えば

すべては
お前たちの責任だと
彼らは怒っている

それはすまん! と
詫びてみれば
お前は宇宙にいて
ここにはいなかったのかと
宇宙との大きな時間差を
告げた

そうだった
宇宙での1日は
地球では何年になるのだろう

これからどこへ? と
尋ねてみれば

キミは選ばれた生き残り
過去へも戻れるし
未来にも行けると教えてくれた

過去ならば
遠い過去の方が良い
近い過去だと
キミもまた滅んでしまう

ならば
未来へ連れてってくれと
頼んでみれば

では
平和な時代へとお連れしましょうと
宇宙船を呼んだ

それは
待つことなく素早く目の前に現れ
氣が付けば中の椅子に腰掛けている

では
3億年ほど先へと
それは一瞬に飛び立った



目の前の掲示板は
足早に回り
あっという間に3億年の未来

ドアが開き
外をと見れば
そこは
現代の日本

これは? と問えば

時代は繰り返し周っていると
微笑んで
ほらと
見せられた宇宙のループは

メビウスの輪のように
いつか見たあれだった



なるほど
そういうことかと
思ったところで目が覚めた

2026年は
世の中が大きく変わるから備えよと
どこからか
聞こえた氣がした