その日
仲間たちに呼ばれ
訪れたのは
あいつが買ったと聞いた
大きな山

その入口の雑木林は
綺麗に切り倒されていて
長い通路が山へと向かっている

そこを
登山姿で登り出すと
後から
最新型のランクルが来て
止まった

振り返ると
そのドアが開き
中から
永ちゃんが現れた

驚いた僕らは
どうして? と問うと

この山で
野外ライブをやりたいと言う

その下見でと微笑んで
よろしく! と言う


僕らはあっ気に取られ
この山でですか? と
山頂を眺めれば

なんとすでに
大掛かりなステージが出来ている

ではと思う間に
上空からヘリが降り
永ちゃんを乗せ
その山頂へと向かって行った

僕らも急いで後を追うが
ここは思った以上に急登で
なかなか辿り着けない

そうだ
あの日の富士山のようで
ゴールの鳥居は見えるけれど
何歩前進しても届かない

やがて
演奏は始まり
音だけが聞こえて来た

下見と言っていたが
始まったらしい

不思議かな
観客たちは
次々と
上空から降りて来る

空の上から
まるで翼があるように
ゆっく飛来して来て

どうやらすでに
満席なようだ

やっと辿り着くと
このステージ
何かが違う

うっすらと
霧に包まれていて
永ちゃんの姿は
ぼんやりとしか見えない

数曲が終わり
永ちゃんが話し始めた

ようこそ!

会場はいつもの
永ちゃんコールだ!

今日は
特別なライブだ
長いこと
支えてくれた感謝を込めて

残念ながら
先立ってしまった
あなた方へと
出来るだけ近い場所を選んだ

あのどのくらい
下界で歌えるか分からないが
その時が来たら
皆で
迎えに来て欲しい

よろしく! と
微笑んで
ライブは終わった


直後
満席の観客たちは
手放した風船のように

ふわりと浮き
ゆらりゆらりと上空へ登り
真っ白な雲の中へと
消えて行った

永ちゃんは
彼ら全員を見送ると
僕らのところへと来て

ありがとうと
丁寧にお辞儀をし
姿を消した

残された僕たちは
そのステージが消えるのを
見続けている

やがて
ステージは消え去り
そこには
テントがあり
焚き火まで灯っている

足早に夕暮れとなり
空には満天の星が見え

いくつもの流れ星が
月へと向かっている

月は
やがて満月となり
それを受け入れて
なんやら
何かの絵柄のようだ

そうだ
うさぎが餅をついている

おや
何かが降って来た

餅だ

白と
赤との餅が

あられのように
美しく軽く…

そこで目が覚めた


なぜか

不思議な夢ばかりをみる


さて
来週末は
年に1度の 武道館

タオルを準備して
肩で風を切り
あの頃の仲間たちと…



76歳のスーパースター

キャロルから
リアルタイムで追い掛けて来た
僕ら世代は

最後まで
見届けねばならないようだ