若い頃
これほど紅葉に
心することはなかった
50を越した頃から
季節を
真正面で受けるようになり
春には 新緑を
秋には 紅葉を追い掛け
そのわずかな時に
無理にタイミングを合わせ
この身を投げ込んでみる
そんなことが
四季あるこの国では
1番の幸せだと思ってみれば
和をもって尊し と
言葉を呟いてみる
しかし
季節感は減り
夏が勢力を増して
生温い冬と
ほんのわずかな春と秋とが
足早に過ぎて行く
山の紅葉ってね
短い秋に
無理してでも
タイミングを合わせないと
観れないんですよ
長くても10日
短いと
わずか1日って年もある
それほど
山の気候は変わりやすく
そこへと
身を寄せるには
それなりの装備を必要とする
一昨年の涸沢ですら
紅葉を観に出掛けたのに
まさかの吹雪となり
一晩 テントの中
寒さに耐えた
おかげで
翌朝
20年ぶりと言われる
3段紅葉となり
ご褒美のように
転じて福となった
今シーズンのそこは
雪こそなかったけれど
聞けば
10年ぶりの鮮やかさだったそうで
出掛ける予定でいたが
週末ごとの雨天に阻まれ
観れずに過ぎてしまった
上高地から
片道3時間 平地を歩き
横尾でひと息ついてから
吊り橋を渡れば
そこから登山道となり
4〜5時間
吊り橋の先は
入山の時間制限があり
背筋を伸ばし
心せねばならない
その後
紅葉は足早に下へと流れ
上高地が色付けば
すぐに
下界へと落ちる
時間は待ってはくれず
僕の持ち時間も
刻々とカウントダウンを続けて行く
体力は確実に
昨年よりも今年は
落ちて
今年よりも
来年は
更に急激に落ちるのだろう
日々
歩き
走ってもいるが
はてさて
あと何年? なんて
思うことばかり
いずれにせよ
誰もそこへと加勢してはくれず
ましてや
ロープウェイもない
すべて
自己責任の中で
自らの足で登らねばならない
長くともあと5年
古希までかと
腰を引きながら…





