目の前には
細い川が流れていて
その向こう岸に
その女性は立ち
こちらへと呼んでいる

僕は迷うことなく
その川を飛び越して
その女性へと近づけば

これから
一緒に
敵地へ向かう任務だと
微笑んでいる



見れば
僕らはすでに戦闘服姿

そして目の前には
ステルス戦闘機

これに乗り
敵地へと向かい
築造中の巨大な母船を
爆破する任務らしい

良く見ればその女性は
あまりにも美しく
その金髪を束ね
ヘルメットを被っている

この機の操縦は
彼女らしい

僕は? と問えば
そこに座るだけでと微笑んでいる

さて
狭いコックピットに入り
命を預けた

振り返れば
さっき飛び越えた川は
それは荒れた流れとなり
幅広く 向こう岸が見えない

あれはどうやら
結界だったようで

まさか
三途の… なんて
心をよぎった


母船を築造している敵地は
山深い奥地にあり

そこへの道のりは
すべて監視されている

近づけばすぐに氣付かれ
はい それまでなはず

すると
準備良い? と
彼女は微笑んで

ステルス機は急上昇して
大気圏を脱出した

宇宙だ
地球はやはり青く
国境など見えない

多くの使用済み人工衛星が
邪魔なくらい浮かんでいる

さて
敵地の上空へと来た
あとは
真下へと降りるだけ

大気圏へと入り
ゆっくりそっと
敵地へ舞い降りて行く

氣付かれたら
一瞬で吹っ飛ぶ
弾丸が飛んで来るだろう

さあどうする?

彼女は
ちょいと振り向いて
ウインクを放ち
行くわよ! って合図

身構えると
一気に戦闘機は降りて
そのステルスは
さすがに機密だけあって
氣付かれない

積んで来た最新型の爆弾は
わずか1発で
すべてを吹っ飛ばすらしく
それを落とした直後
全速力で逃げねばならない

わずか数秒の遅れが
こちらもまた命取りとなる

さて
射程距離に入った
そのスイッチは
僕の手元にあり
彼女の合図で押すだけ

良し!
これで! と思った瞬間
氣付かれたけれど

まずは任務が先と
ボタンを押し
弾薬は機体から離れ落ちた

あとは急いで
逃げるだけ

しかし
数10もの敵機が
行き先を阻んでいる

時間がない
弾薬はあと数秒で破裂する

このままでは
敵機共々
皆 爆破されてしまう

さあ
どうする?

彼女は一切のためらいもなく
真上へと急上昇を選んだ

最新鋭のステルス戦闘機でも
これでは
敵機と衝突してしまう

もはやこれまでか? と思ったら
一瞬にして
僕ら宇宙にいる

なぜ? と問えば
残りのエネルギーの大半を使えば
1度だけ
ワープが出来る装置があると

これまた
機密中の機密らしいが
これもまた
テスト中らしく
実戦では使ったことがないと

それを
今回は
使ってしまったと

更には
それにより時空は飛んで
100年先にいると…

分かったような
分からなかったような
でも
さてすれば
後は
地上の基地へと戻るだけ

彼女は振り向いて
もうね
燃料が無くなって
あたしたち戻れないのよと
微笑んでいる

えっ?
そしたら
救援を! と口にすると

いいえ
ほら
あたしたち

ほら
あなたも
川を渡ったでしょ!

あれが
この世との結界

永遠に
地球を周り続けましょ!

青い地球の向こう側には
無数の星が輝いて

その手前には
満月に輝く月が
こちらにおいでよと
手招きしているようで

しばらくすると
その月から
1つ何かがこちらへと向かって来る

急接近したそれは
まさにUFOで

お迎えに上がりましたと
全身 銀色に輝く使者が来て
僕らはその宇宙船に引かれて
月の裏側へと

そこには
富士山のような山があり
その噴火口にと導かれた

その中は暗闇の空洞で
何ひとつなく
その中央に浮かんでいると

突然
周囲が回り出し
時空を戻しているようだ

ひとつ
目の前に表示があって
2125のそれが
2025へと変わった

なるほど
月こそ
タイムマシンだったのかと…



すると
キミたちは
今後 特殊任務にと言う

それは? と問うと

争い 事故 震災 等により
命の持ち時間を
まっとう出来なかった方々を
その直前で救い出し

地球の歴史に影響を与えない
遥か遠い星へと運んで欲しい

それは
太陽系から離れた場所に
地球と同じような星がある

そこには
すでに多くの方々が
移り住んでいる

国境も
人種もなく
平和そのものだ

しかし
どのように?

ステルスでは行けないから
この宇宙船に乗り換えてくれ
これには
直前で時間を止める装置がある

そこで
止めている中で救出し
ここへと来れば

その地球のような星にある
これまた月のような衛星へと
ワープ出来る



まずは

2人で

あの 9.11へと飛んでくれ

頼んだぞ! 


しかし…   と

振り返れば

その女は遠い昔の彼女


なぜ? と

言い掛けたところで

目が覚めた


今朝は
長い物語だった

まさか
それが本当だったらなあと
思いながら
身体は… と動かしてみる

右肩は
変わらず痛みで動かない
右足にも痺れがある

身体に異変がある日は
不思議な夢でうなされる

今日もまた
整体に行かねばと
思いながら…


今 

これを書き終えると

大きな玉響が1つ

目の前を通り過ぎた


また

彼らの仕業かと

微笑んでみるが


まさか

それは

キミか?…    なんて