ここへと越して来て
早くも34年
こんなにも長く
ここに居る予定ではなかったけれど
こうして今も居るのは
住めば都
ご近所さんたちに
恵まれたからなのだろう
それでも時が来て
仕方なくも
お世話になった方々は
先立つばかり
昨日もまた
さよならをした
それが年功序列ならば
いずれ僕にも
その日は訪れる
ならば
名を残さず
周囲に迷惑を掛けず
そこそこで
この世から去る
そんな生き方もまた
有りかと思うのは
厄介になって来たこの世の中
そして
次の世がありそうだと
なんとなく
見えて来た感
見えなかったものが
突然 見え始め
それらは
常に取り巻くように
目の前を浮遊していて
まるで
僕を正すかのように
僕を守るかのようにも
それは
多くの先祖たちのような
先立った仲間たちのような
先立った愛犬たちのような
僕の準備が出来るまで
何者かから
バリアのように
守ってくれてるかのような
そして
旅立つ準備が整った頃
僕もまた
彼らと同じ姿に…
残りの持ち時間が分かれば
そこへと向けて
割り振れるけれど
それが分からないから
ジタバタしてみる昨今
身体は確実に老い始め
心は
あの日って頃を
振り返るばかり
この家で
いつも隣りにいてくれた
愛犬たちとの時間を
振り返れば涙ばかり
この犬好きな男は
犬たちを愛し過ぎた
これが
最後の犬だと
心した相棒が去って
もうすぐ3年
ぱふ はいつも祭壇にいて
話し掛ければ必ず
その姿を見せる
いや
その玉響が
ぱふ だと信じている
戻る声は
今まだ聞こえないけれど
それでも
時折 聞こえる
どこかで吠える声に
間違いなく
あいつの声だと確信して
微笑んでみる
花は常に備え
大好きだったリンゴもそこに
新鮮な水と
わずかなオヤツを
毎日取り替え
毎月
写真を入れ替える
あれから
もうすぐ3年
常に
あいつを感じて来た
いつまで? って
昨今 よぎるけれど
僕のその日までと
思ってみる
子供やカミさんに
唯一 頼んであるのは
僕の骨壷の中へ
ぱふのそれを
そっと入れてくれと
それだけで良い
ただし
本家の長男
勝手に お先に! は出来ず
やらねばならないことがある
親たちが
その持ち時間を
まっとうするのを
見届けねばならない
いつか
このポンコツ息子には
何が出来るのかと思ったことがある
ならば
僕の残りの持ち時間を
3つに分けて
親たちへと足してと願ってもみた
僕には
7週間だけ
49日だけ長くとも…
わずかに身体の不調があると
そんなことまで
考えてしまう
いかん いかん!



