世の中が
禁煙に傾いて
喫煙者たちは減り
また
吸える場所すら追いやられた今

あの頃は
国際線の飛行機の中でも
タバコは吸えたのに…



ちょうど
その頃から
アメリカではそれが盛んとなり

特に
キリスト教の団体から
それはかなり強制的に
広まって行った

さてすれば
そんな動きは
数年遅れてこの国へと届き

あれよあれよと間に
世の中の家族持ちのお父さんたちは
無理して
我慢して
なんとか辞めることに成功した

それでも
辞められなかった方々も
いよいよ迫って来た
その波に呑み込まれ

また
国としても掛けやすい税を
そこへと増やしたもんだから
小遣いの足りないお父さんたちは
辞めざるを得ないと
七転八倒したのだろう

そう
千代田区あたりの区によっては
路上喫煙すら禁止となり

とうとう
吸う場所すら失った

さて僕も
アメリカへと向かう時には
少ないとはいえ
愛煙家だったけれど

ステイした家庭は
キリスト教の信者で
タバコはおろか
酒もダメ
コーヒー お茶 等
カフェインもダメ

更には
婚前交渉も… なんて

まあ
それはさておき

お世話になる
家族探しの調査書には
確か
タバコを吸いますに
チェックしたはず

なのに選んだわけだから
そりゃあ大丈夫だろうと
与えられた部屋で
わずかに吸ってみた

すると
学校から帰ると
机の上に
それは大きな灰皿が置かれていて

なるほど
そういうことならばと
その場で
辞めることにした

最初の1週間は
それは苦しい戦いで
それを紛らわす為に
ガムと飴とを
口に放り込み続けた

そんなことが
終わると
次は
吸ってしまった夢をみる

そして
真夜中に
あゝ 吸っちゃった! と
飛び起きることが増えて

それでも
ここで辞められなければ
きっと
生涯無理だろうと
頑張ってみた

そんな日から
45年もが過ぎて

今はもう
逆の立場にもなり

それでも
喫煙者たちに意見を申すことなく
いつか分かることを
願ってみる


100害あって1利なしとは
言うけれども

心の安定を思えば
1利くらいはあるはずで

返って
酒の中毒性の方が
遥かにダメだと思うけれど…


第3のビールのように
タバコにもまた
抜け道を作り
電子タバコなるものが
増えてきたけれども

これにもまた政府は
課税をと動き出した

もう
タバコの値段すら知らないけれど
これからも少しづつ値上がりし
近い将来
1箱 1000円にはなるはずで

それもまた政府は
そこまでならば大丈夫だろうと
すでに調査済だと聞いた

一気に上げれば
辞める方が増えるけれども
少しづつならば
皆 仕方ないかと
その金額を受け入れると

それは
この国の消費税と同じで
騙され続けている国民たち

きっと皆
氣付くことなく
終えるのだろう


さて
昨日
ボートハウスの話題を書いた

すると
そうだ
まだまだ多くの
当時物のグッズがあったはずと
探してみた

出て来たのは
ジャケット 
パーカー 
トレーナー
Tシャツ
ハンカチ
ステッカー
ワッペン… なんて

もう
朽ちる寸前のものばかり

これもまた
40数年も前のもの

ショッパクなっていて

お宝か
ゴミかの
間くらいの価値

そんな中
瓶に入ったまま時が過ぎて
姿を変えることなく
令和となったのは
マッチたちで

それも
今はもう見掛けなくなった
紙マッチ

その多くは
やはり
日常的に通っていた
ボートハウスクラブのもので

手に取れば
シケてもおらず
まだ大丈夫なようだ

上手く説明出来ないけれど
この紙マッチは
1本づつ切り離して使わず

ちょいと折り曲げて使うと
カッコ良かったようなでと

そんなことと共に
あの頃
目の前にいた彼らの顔が
思い出されて来て
嬉しくもなった




時間はあまりにも早く
通り過ぎてしまう

そしてそれは
戻れないことを表しながら
一方通行に加速し続けてもいる

アナログから
デジタルへの進化を
辿って来た僕らは

タバコの行く末の進化をも
見てきたけれど

そこへと
俳優たちが
カッコ良く火を点けた
マッチすらも無くなり

その火すらも
不要な時代へと
進んで来た

そんなだから
若者たちは
試すことすらなく
タバコを吸わずに
生涯を過ごすのだろう

そして僕は
やっぱり
昭和は良かったなあと
今更ながら思い
終えるのだろう


喫茶店や
ホテルや
居酒屋や… なんて
どこへ行っても
その店のマッチがあった時代

そして
喫煙が通常だった時代

俳優たちは
カッコ良くそれに火を点け
カッコ良く煙を吐いた

そんな時代が
まさか終わろうとは
マックイーンは
どう思うのだろうか

マックイーン


あの頃
大学を辞めて
渋谷の駅前で
喫煙具の店をやっていた友達は
著名人たちのお客様を得て
物凄く景気が良かったけれど

そんな
急な落ち込みにより
さて今は… と
思いながら