学生の頃
7月の終わりは
夏休みの真っ只中
そして
夏を待ちきれず
竹芝桟橋から
真夜中の東海汽船に乗って
伊豆七島へと向かった頃
新島
式根島
八丈島
神津島… へと
そう
8月にもなると
クラゲが出るからと
急ぎ足
目的は
波乗りと
いや
出会いはないかと…
それはすでに
船に乗り込む前から始まっていて
斜に構えた男どもは
何とかしたいが
何ともならず なんて
そんな時代…
バイトで作った
わずかなカネを握り締め
この夏に掛けると
言葉にしても
その夏
流行った
永ちゃんの曲のようにはならず
いつも木っ端微塵!
僕らモテないくんたちは
ジタバタしても
届かない夏を終えるばかり
でも
その夏
島からの帰り際に
そっと僕の目の前に来て
はい
これ! って
珊瑚の指輪をくれたキミは
2つ年上の社会人
それはそれは綺麗な娘で
わずか5日間の島時間
僕らの憧れは
ずっと知らん顔してたのに
今頃かよ? なんて
振り返ってくれた遅さに
嬉しいような
悲しいようなで
1日早く
お先に! なんて
東京へと戻った彼女たち
ならば
東京でもと
約束をしたけれど
都会では
都会の顔をした年上は
僕にはとても
届かなかった
18の
甘く
苦い
想いは
今まだここに残り
それでももう
貴女の姿すら
思い出せない…


