この季節には
また
山形から沢山の さくらんぼが届き
親友の健康を確認などする
遠方に尽き
なかなか会えないけれども
お中元と
お歳暮と
年賀状とが
無事を知らせてくれる
やあ!
ありがとう!
元気?
それだけで良いが
いつも長話となり
話題はあの頃のことばかり
渋谷公会堂の裏手の
日の当たらない古いアパートで
叶わない夢を見ていた 18の頃
背格好が
まったく一緒だったもんだから
ちょいと借りるよ って
あいつの服を羽織り
出掛けた 夜の街
酒に
女に
バイクに
喧嘩に… と
言うに言えない仲は
やはり
離れていても
生涯 マブダチ中のマブダチで
都会から
山形に連れ帰ったはずの
カミさんに
子供を置いて逃げられ
その後
見つけた子連れのカミさんにも
また逃げられ
波瀾万丈な男だけれど
僕には
あいつ以上の友達はなく
そろそろ行こうかと
思いながらも
なかなかの距離
夏にはとてもじゃないが
あの盆地の暑さゆえと
冬には
雪深さゆえと
そんな言い訳も
そろそろ辞めようと
無理しても
会っておこうかと思ってみる今
還暦とやらは
どうやら
そんな時分なようだ
秋には
これまた沢山の 葡萄が届く
ありがとう


