あの頃
中学の頃
テレビで観る
遠いアイドルではなく
近くの現実をと
探していたけれども
その
近くの現実は
なかなか彼女になってくれなくて
と言うよりも
なかなか切り出せない
内気さと
つのる想いと
誰かに先を越されたくないと…
そんなことが
若さの中で衝突しながら
時間だけが過ぎたような
放課後
交換日記や
彼女と楽しそうに帰る
友達たちの後ろ姿を見ては
羨ましく思いながらも
目指すあの娘を
なんとかしたいが
なんとも出来ないなんて
そんなことばかり
そんな気持ちは
還暦を越した今でも
甘酸っぱくここに残っていて
仕方なくも
あっという間に過ぎた時間と
今も戦いながら
あの頃から
何も変わらない中身と
すっかり変わってしまった
外身との狭間で
いつの間にか置かれた
今の立場を演じているかのような
そんな時分となりました
あの頃の憧れはと
振り返れば
少し年上の世代で
百恵 淳子 となるけれど
そんなだから
さほど熱くもならず
さほど冷めてもなく
その感覚のまま
高校へと続き
周囲では
蘭ちゃんが
ミーちゃんが… と
騒いでいたけれど
それでも
遠い彼女たちよりも
近くの現実をと
探して彷徨っていたわけで
すれば
その頃からきっと
彼女ではなく
カミさんを探していたのだろうと
そんなことを
思ってみる記憶も
もう
霧がかって
見えなくなりつつあって
時間は
益々 スピードを増して
ため息ばかり…

