さて
10年ほど前に発見された
120光年ほど先の惑星
そこはどうやら
人類が移り住めそうだというけれど
はてさて
どうして分かるのか?
そう
人類はまだ
さほど遠くへは行けてない
しかもそこは
光の速さで120年も掛かるから
仮に
光の速さの宇宙船が出来ても
人類は
宇宙船の中で世代を繋がないと
辿り着けないのだ
それでも
もしや
オーブたちならば
一瞬でそこへと! なんて
思ってみれば
肉体が終わった頃
自由に宇宙を回れるのかもと
なんとなく
なんとなく…
k2-18b
僕は今
100歳を迎え
この世と
さよならする瞬間らしい
周囲には
多くの家族が集まってくれて
パパ!
ジイジ!
あなた! なんて
叫んでいる
オマエの
キミたちの… お陰で
良い人生だったと
ひと言
口にしたいが
声が出ない
それでも
このひと言だけは
告げねばと
大きく息を吸い込んで
最後の力で言葉を吐いた
その瞬間
バチッ! と音がして
身体の炎が消えた
さてと思えば
泣き崩れている皆の姿を
上空から見ている
そうだ
身体を失って
魂だけになったようだ
自分の姿は見えないけれど
隣で緑色に輝いているのは
善次郎らしい
言葉はないが
ありがとな なんて
聞こえて来る
あれから
お前と一緒に旅が出来た
私たちに気付いてくれて
楽しかった
えっ?
そうだ
子孫の中で
私に良く似た男が現れる時を
待っていたのだ
それが
オマエだ
時代が違えば
きっとオマエが
浪士組になっていたはずだ
オマエの時代は
争いはなく
平和で良い
はい
だから
長生き出来たな
はあ
さて
これからだが
オマエには
遠い昔から決まっている
任務がある
それは?
獅子座の方角に
K2-18B という惑星がある
そこへ
今すぐ飛べ!
は?
そこは
今まさに戦国の世だ
その星に
植え付けた生命たちが
進化している
それは?
そう
人類の種を2粒ほど
撒いて来た
それから
200万年が過ぎた
そして
今
この星のように
絶滅の危機にある
そう
この星と
まったく同じ進化を遂げ
原子力を手に入れた
でも
その扱い方が分からずにいる
それを
オマエが正しに行け!
しかし
遥か遠いはずでは?
大丈夫
我々は
肉体を失った直後
光の速さの
1000倍を手に入れた
だから
すぐだ!
そして
着いたらすぐに
肉体を探せ!
同じように
多くの人種がいるはずだ
その中で
黄色人種を探して
今まさに
受精する瞬間の卵子に飛び込め
すれば
10月10日で
肉体を手に入れられる
そうだ
誕生からスタートだ
最初は
今の記憶はないが
成人になった日に
今の記憶が突然 戻るはずだ
そこからが
任務の本番だ
やり方はオマエに任す
とにかく
絶滅を止めろ!
持ち時間は
同じく100年だ
その瞬間
また肉体を失う
そしたら
戻って来い
その時には
こちらでもまた
これぞ! という肉体を
見繕っておく
頑張れ!
健闘を祈る
ではまた
100年後に… と
善次郎は微笑んだ
その間
アナタは? と
声を掛けかけたけれど
もう
僕は地球を遥かに
離れていた
さあ
どんな星かと
ワクワクしたところで
目が覚めた…
見えなかったオーブたちが
目の前に現れて
1年数ヶ月
相変わらず
毎日毎日
その存在を確認し
一方的に言葉を伝えてみるが
今まだ
本当のことは分からない
夢の中での
勝手な解釈だったけれども
もしや
そういうことなのかも? と
思ってみれば
そんな氣もするけれど
はてさて
それが分かるのは
夢のように
最期の日なのだろうか…











