器量良く生まれると
裕福に生まれると
そこで
運を使い果たしてしまい
その後
そのツケを背負わねばならないと
いつかの占い師が
呟いていたけれど…
すれば
ガキの頃からの
僕らモテないくんたちは
鼻水を垂らしながら育った
田舎町の借家街の
僕らならば
そろそろ
軽くなって来た時間
運の残量も
まだあるはずと…
人生は ±0 だと
先人たちは
知っていたのだろう
山あり谷ありの生き方をも
やがて山が訪れるはずと
微笑むことが出来たのかもしれない
それでも
人生わずかに50年だったならば
先へ先へと
生き急ぎ
その運さえも
間に合わずな時間は
きっと
閻魔さまも不憫に思い
次の世へと
残してくれたのかもしれない
更には
日々 徳を積めば
運もまた
わずかづつ増えるのだろう
あの世には
極楽と
地獄とがあると言う
それは
この世で
どう生きたかが問われ
他人を想えたか
自分が自分がだったのか と
そういうことなのだろう
もちろん
そこへは
犯した罪もまた加わり
それらを
閻魔さまが判断なさり
時には厳しく
時には甘く
御加護もまた
大岡越前のような裁きも…
お血脈
閻魔さまは言う
お前は 極楽だと…
ありがとうございます
これで
皆と再会出来ますね と呟くと
いや
そうではないようだ
えっ?
それでは?
残念だが
お前の仲間たちのいくらかは
極楽へと行けなかったようだ
そうでしたか!
残念です
でも
それはなんとか
なりませんか?
確かにこの世で
悪さをしましたが
彼らにも良いところは…
そうだ!
善光寺のお札は
今からでも間に合いますか?
お血脈のことか?
そうです
あの頃
時折 出掛けてはわずかを頂き
その時
気になる方々にと
届けましたが…
おう
そうだったな
その者たちは
皆
極楽におる
では
今からそれを…
心あるなら
構わんが
お前が行くのか?
はい
僕が行きますので
時間を
1日
1日だけ
戻しては頂けないでしょうか?
すれば
なんとか
それを間に合わせます
彼らと
一緒にいたいのです
そうか
分かった
お前には
次の世へと残した
1日分の運が残っておるようだ
では
1日だけ… と
この世に舞い戻った
山門に着くと
もちろん
お血脈を授かるところは
分かっている
そう
お血脈は
お守りや
お札のように
どうぞどうぞと
勧めるように授けてはなく
また
善光寺そのものには ない!
それは
その別棟にあり
それを探し当てた者にだけ
そっと
手渡しで授けるもので
なんせ
これを授かった者は
この世の罪をすべて許され
極楽へと な
確約された案内状のようなもの
それゆえ
選ばれし者な
はずだった…
ところが
昨今の落語ブームにより
広く知れ渡り
また
世の中は
きな臭くもなって
いつ
戦いが始まるかと不安な時代
ならばと
それを探す者が増えて
あらま!
まさかの大行列
その光景は
善光寺を何周も取り囲むように並び
まさか!
頂いた1日の時間内に
授かることが出来るのか? と
不安になった
イライラしながらも
割り込むわけにもいかず
じっと耐え待つこと1日
あと
数分でタイムリミット
すると
焦る僕に気付いたのか
前の方が
お先にどうぞ! と言う
これは嬉しい
ありがとうございます
助かりました! と顔を見れば
閻魔さま
なぜここに?
お前の心を見ていた
大丈夫
間に合ったな
ほっと
したところで
目が覚めた…
しかし
ここんところ
毎晩 不思議な夢ばかり
もちろん
睡眠はたっぷり足りているのもあるが
もしや
周囲を浮遊するオーブたちの
仕業かもしれないとも…
もしも
あなたが
信州を旅するならば
是非
善光寺へと立ち寄って
この
お血脈を授かって頂きたい
もちろん
それにより
その後
更に襟を正し
背筋を伸ばして
生きる為に… と




