バイクのミーティングに来ている
あの頃の仲間たちと
笑顔で話している
3年前の還暦で
バイクを降りたはずだが…
あの日
仲間に譲った僕のバイクが
並んでいる
懐かしくて手を伸ばす
すると
バイクが言う
そろそろまた
乗らないか? と
更には
私を買い戻してくれないか? と
そしてまた
あの頃のようにと
すると
直後 風景は変わり
僕はそいつと走っている
どこへ? と問うと
どこまでも! と戻る
ならばこのまま
天国へ頼むと微笑むと
いえまだ
お連れ出来ませんと 返る
ではもう1度
北海道を走りたいと
直後
そこは
あの日の富良野となり
多くの仲間たちと走っている
皆 笑顔で
誇らしげに肩で風を切っている
そんな風景を
ぼんやり眺めている別の僕もいる
違うんだよなあ
もうそこではないんだよなあと
呟きながら…
そうだ
もうバイクの時代は終わったのだ
そうだ
若い連中は
もうバイクには乗らないのだ
そうだ
ヘルメットを取れば
皆 オッサンばかりなのだ
そう
昭和世代が老いて
バイクを降りた頃
もうこの国には
バイク乗りはいないのだろう
更には
エンジン音のしない
電動バイクなど
皆 喜ぶはずもない
ブンブン! と
大きな音がしてこそ
胸を張って乗っていたのだ
そんなことを
苦笑いしながら眺めている
また別の僕もいる
分からないが
そんな風景の中
齢を取ったかな
齢を取ったのだな
僕の乗って来た
歴代のバイクたちが
目の前を通り過ぎる
その齢
その齢の僕が
その頃の姿で跨っている
50ccから
1500ccまで
斜に構えたガキから
ちょいとオシャレした老年まで
バイクたちは
ありがとう
また次の世でと
一斉に言葉を残し
月へ向かって
飛んで行った
次の世か と
次の世でもか と
約束した僕がいた
そんな夢もまた
不思議かな
楽しい寝起きの朝
ホンダは優等生
スズキはジャジャ馬
ヤマハはスマート
カワサキはカッコ良く
ハーレーは見掛けだけ
BMWは快適…
昭和から平成へは
令和では出来ないことばかり
やはり
良い時代だったようだ
さて
ガレージを見れば
それは古い
2ストのスクーターが
1台残っている
これは
90ccの2人乗り
今まだ
これだけは手放さないのは
カヌーでの川下りにと
残してある
そう
車で遥か上流まで上り
カヌーを下ろし
川を下るリバーツーリング
車を取りに戻る手段として
事前に
下流のゴール付近に置いて
車を取りに戻る為
それも
仲間たちと
何艘ものカヌーを乗せて
車2台ともなれば
2人乗りで戻らねばならず
その為だけに残した
ベスパのようなスクーター
それはきっと
僕の時間の中
我が家に残るものだろう



