飛行機に乗っている

不思議かな
飛行機が
ホバーリングしながら
飛んでいる

前の大きな扉が
観音開きに開く

飛行機は
次の部屋へと前進する

するとまた
次の扉が開くのを待っている

今度はシャッターのように
上へと開いた

次の部屋へと移動し
また次の扉が開くのを待っている

そんなことが
何度も繰り返され
出口に辿り着かない

すると
後ろから違う飛行機が来た

僕らを抜き去り
次の扉に激突した

でもその瞬間
その扉は消えて
その飛行機は遥か先へと
飛んで行った

おや?
あいつが乗っている

お先に! と
手を振っている…


このアルバム
とても良いから聴いてみてよ! と
あいつが差し出す

おや!
あの日のあの場面だ

ここは?
あいつの部屋
仲間たちが集まっている

これ? と
誰かが言ってる

そうだよ と
わずかにテンションを下げて
あいつがまた薦める

金井夕子?
誰だっけ? と
また誰かが呟く

知ってるよ
テレビで観たことあるよ と
また違う誰かが言う

僕は
そんな光景をぼんやり眺めている


そう

百恵に

淳子に

ミーちゃん

ランちゃん…  なんて

皆が騒いでた頃だ

ならばと
皆 1人づつ
それをカセットテープに
録音し始めた

時間が掛かるが
仕方がない

あいつの
女友達がいる

お寺の娘さんらしいが
とても綺麗だ

なんとかしたいが
なんともならない僕がいる

ここはあいつの家
あいつの部屋は2階で
下には
沢山のバイクが並んでいる

そうだ
まさにあの日の風景だ

僕はそろそろ帰ろうかと
壊れそうな
叔父から貰ったダックスの
調子をと下へ降りた

近所のババアが
迷惑そうに見ている

上から声がして
お前の分 録音出来たよと
あいつが微笑んでいる

おう! と
取りに戻る

すると
そこにはもう誰もいない

あれ?
あいつと2人だけになった

時空が飛んだ

最後に
あいつに会いに行った日か?

お前にだけは話しておく
具合
良くないんだ…

そうか
薄々 分かっていたが
言葉が出ない

それでだな… と話そうとすると
また
時が戻って
あの日のあいつの部屋

困った
何かを知らせねば

でもまだ
僕らは高校生

遥か先の未来のこと
なぜ僕には分かるのか?

お前
あまり酒を呑むなよ!

それから
このアルバム
きっと宝物となる

そして
未来には
彼女
僕らの近くにいるかもよ

そんなことを伝えたけれど
そんなわけないよと
あいつは微笑んだ



あの日に戻って
救いたいものがある

時空を飛べたら
後悔せずに済むことばかり

1度で良い
あいつを
今の自由が丘へと
連れ出したい

大きな置き土産を
ありがとう

今朝もまた
泣きなから目が覚めた

涙腺は年々
弱くなるばかり…