富士山は
遠くから観る山で
登る山ではないと
誰かが言ってたけれど
そう
森林限界を越し
岩だらけの山
高さゆえ
眺めは良いが
山そのものには何もない
おまけに
空気は薄く
常に寒く
一瞬で変わる気候
それでも
到達出来たならば
その瞬間 日本一高い場所に
その身を置いたこととなる
満足感
1度も登らぬバカに
2度も登るバカ
そんな表現は
きっと正しいのかもしれない
富士山
40年前
うっかり登ってしまった僕らは
あの日
今で言う 弾丸登山で
土曜日の仕事が
半ドンなる時代
そう
週休2日なんてまだない時代
夕方に集合して
5号目へと入り
夜10時から登り始めた
下界は真夏
安易な装備で
簡単に考えて
頂上でご来光をなんて
その前の週末の呑み会で
あれこれの遊びを尽くし
そろそろ違う遊びは? と
うっかり
そう うっかり
次の遊びは
富士登山です なんて
言ってしまったのは僕で
即決!
翌週末と決まった
総勢10人
登り始めは快調で
下から眺める登山道は
登山者たちの懐中電灯の光で
綺麗に頂上まで繋がっている
しまった! と思ったのは
8号目辺りで
吸っても吸っても
空気が入って来ない
突然 薄くなった空気
こんな経験は初めてで
それに真冬の寒さ
ウインドブレーカー程度の装備は
小屋に避難し
暖かいおしるこをすすりながら
寝落ちしてしまった
こんな時
女たちは強く
僕ら男たちを置いて
さっさと登って行く
男たちは
ふと気付き
女たちの後を追う
そう
3歩登って
はあはあはあと息を吸い込み
また3歩足を出す
見上げれば
頂上の鳥居はそこに見えるが
なかなかどうして
辿り着けない
見下ろせば
雲の下で雷は光っている
ご来光など間に合うはずはなく
登り始めてから
すでに12時間
疲れと
寒さと
薄い空気と戦っている
それでも
全員が登頂し
苦笑いしながら パチリ!
それが最初の登山となり
登山歴
はや 40年 笑
不思議なもので
また行こうかと思いながらも
どこかで敬遠してるのだろう
更には
世界遺産ともなり
昨今の混雑と
面倒な規則ゆえ
きっともう
登ることはないのかもしれない
それよりも
もっともっと
美しい山が沢山ある国
楽しく
快適に
笑顔で登りたい
残念ながら
今年も富士山では
命を落とした方々
3000mを越す山は
簡単には
向かい入れてくれないようだ
そう
スカイツリーより低い
高尾山の方が
きっと楽しいのかもしれない
けれども…
ただし
時折
飛行機から富士山を見下ろすと
ああ
あの日
あそこに立ったのだなあと
懐かしくも
誇らしくも 思うわけで…




