容赦なく時間が過ぎる
ここに越して来た頃
真っ先にご挨拶に伺ったのは
近くのガソリンスタンド
以前のそこでは
月払いだったので
ここでもお願い出来ませんか? と
すると
どこの馬の骨かわからん僕に
良いよ! って社長
それは助かった
ありがとうございます
そんな日から
35年
もう
その社長はいない
そう
昨年末に他界して
息子が継いでいる
そして
あの頃
高校中退でヤンキーだった
若い衆も
もう立派に厚生し
家族を持っている
自衛隊好きだった社長
その孫たちは
自衛隊へと入り
今 空を飛んでいる
そうだ
野球も好きで
ヌートバーの祖父と友達だったそうだ
でも
もう社長はいない
ならばと
お聞きしていたお寺へと
出掛けてはみたが
墓所が分からず彷徨ってしまい
住職へと尋ねても
この時代
お教え出来ないと
仕方なくもまた
スタンドで聞き直し
やっとこさたどり着いた墓前
すると
なんとしたことか
施設に入っていた奥様も
この4月に他界されている
酒の好きだった社長には
やはり酒かと備え
手を合わし
お世話になりましたと呟くと
やはり
いつもの気配
では失礼と
動画を撮ると
緑のオーブと
白のオーブとが
ゆらり
言葉
伝わったかと
微笑んで
ではまたと…
仕方なくも
容赦なく
時間ばかりが過ぎる
そして
次の世代へと
正しく物事を伝えねばならない
どうやら僕も
そんな
繋ぎの人生のようだ
ありがとう