昨晩
紫式部だという女性が
夢に現れて

主は
藤原氏かと問う

いえ
町民で御座いますと返すと

それは
前世で
今は
藤原ですぞ

その
藤原宣孝で御座いましょう と微笑む

すれば
我が君
旦那様と 寄り添って来た

しかし
すまんが
私は 清少納言が… と
口にすると

紫式部は怒り
出て行けー! と叫んだ




その足で
清少納言のところへ行くと

あらま
我が君
どうなさいましたか? と問われ

カクカクシカジカと伝えると
おのれ
紫式部と怒り

美女たちの
大きな争いとなってしまった


♯534


それを見ながら
そ〜っとその場を抜け出し
自宅へと戻ると

おばあちゃんが微笑んで
貴方は町民ではなく
武家の血よと言う

えっ? と問うと

ほら
昨日
お寺の本堂で見たでしょ

善次郎の祖母は
お籠に乗って嫁いで来たのよ

ああ
あれか! と思ったところで
目が覚めた






そう
昨日
孫の誕生の報告に
実家のお寺へと墓参した

すると
本堂が開き放たれていて
訊けば月に1度の掃除の日だと
その業者が入っている

ならば
そう言えば
いつかおばあちゃんが話してた
籠があるはずと
中を見せて頂いた

すると
それはそれは立派な籠があって
なるほど
これがかと…

そう
江戸時代に
我が家に
どちらかの武家の娘が
お籠に乗り嫁いで来たと

そして
その籠を
その後
この寺に寄付し
今も残っているはずと

初めて見たそれは
まあ 豪華な作りで
なるほど当時は
栄えていたことが分かる

更には
この寺の土地の大半をも
寄付したと聞くから
きっと
大した一族だったのだろう

こりゃあ
もっともっと頑張らねばと
背筋を伸ばし手を合わせた