唯一
僕の落書きを褒めてくれた
あいつが他界して10年

ちょうど500枚を描いた頃
さよなら って逝ってしまった

ではと
もう観てくれる方も居ないしと
そこで
終えてしまった僕の落書き

そう
周囲を見れば
皆 何かを残し始めたけれど

50にもなったのに
僕には
何も残す物がない

ならば
絵でもと思ったけれど
絵心があるはずもない

それでも
もちろん下手でも結構
毎日 描けば
少しは上手くなるかもと

そんな日に
あいつが発病し入院

ならば
病室とfacebookで繋がって
多くの時間を共有しようかと

その中の1つが
下手な落書きだった

それでも
あいつは褒めてくれて
役所に勤めていたから
ギャラリーを借りてやるよ
個展やろうよ! なんてまで

わずかに本気にもなったけれど
叶わぬまま
さよならしてしまった



さて
そんな絵にも
1つだけ
自分なりのルールがあって

まずは1時間以内で
その時に
一気に描き上げること

そう
絵なんてものは
キリがなく
そう
終わりがないから
出来ても
出来なくても
1時間で終了

描けば描くほど
崩れるからね
そのくらいが
集中するにもちょうど良い

あれから10年
見事に封印したままだったけれど
昨晩の片付けで
画材道具が出て来てしまった

蓋を取れば
筆も絵の具も
まだ大丈夫みたい

更には
たっぷり画用紙もある

すれば
今日は午前中の時間が空いた

ではと
以前のルール通り
1時間
描いてもみようか なんて

でも何を? 

そう
あの頃は
ブログの話題に絡ませた絵をと
試行錯誤してたけれど

10年ぶりのスタートは
そうだ
エクランにしよう! なんて
突然 思って

ならば
勝手にエクランでと



リハビリと言えば
おこがましいが

1時間で
出来るだけのものをと
勝手な色で誤魔化しながら

さて
相変わらずの落書きであるが
あいつならば
何て言うだろう?

そう
僕らの中に
金井夕子を広めたあいつに
訊いてみたかったけれども…



さて
10年が過ぎて
とうとう501枚目を描いてしまった

すれば
502枚に進まねばならず
次は
1000枚か? なんて

あいつならば
笑うのだろう



ありがとう