先日の寄席で
とある若い女流講談師さんが
まくらで話していたのは
時折
水溜りで見掛ける虫たちが
溺れているのを救うと
もしや無理かもと思いながらも
救い上げて
それを
ティッシュペーパーの上に置くと
水を吸い取ってくれて
しばらくすると
動き出すことがあり
よし!
これでひとつの命を救えた
今日は良かったと
心が晴れたと微笑んだ
それは僕も同じことで
なるほど
心通じる方がいるのかと
嬉しくなって拍手をした
そう
卵から羽化し
やっと辿り着いた命
どんなに小さな命であれ
まっとうさせてあげたくもなる
僕もまた
庭の蓮鉢を眺め
もしや溺れてやしないかと
水面に浮かぶ虫たちを探す
すれば
仕方なくも
いくつかの虫たちが浮かび
その1つ1つを救い上げ
様子を見るが
すでに落ちた者
間に合った者
それらを見ては
次は違う者に生まれて来いよと
そう
出来れば
人間にと願ってもみる
自然界とは過酷なもんで
生き残るが為には
目の前の戦いに勝たねばならない
それは
どんな状況下でも
負けはそこで終えることとなる
有り難いことに
この国では平和が保たれ
命の危険は少ないが
今まだ世界では
それに脅かされたままの国ばかり
昔
宮本武蔵は言ったそうだ
いつ
いかなる場合でも
いかなる相手でも
勝たねばならないと
つまり
負けは
そこで命を終えることとなると
そう
どんなに体調が悪くとも
どんなに気が乗らなくとも
負けられないと
だから
常に
自分を保たねばならないと
僕たちは
この平和ボケの中で
せめて
健康だけは
気遣いせねばならない


