長い歴史のある本家の為か
いくつかの
言い伝えがあって…

ケイトウを植えてはいけない
ニンジンを作ってはいけない
それから
それから… なんだっけ?

忘れてしまった
また 訊いとかねば…



それもまた
書き置きのない
伝言ゲームみたいなもので

ならば
どこぞやかで
その内容も変わっているはずで

時折
ケイトウの花が
墓所にはダメと聞くのは
多くの種をばら撒くそうだからで

でも
実家ならばとも思うけれど
よほどの何かがあったのだろう

それでも
いつの時代の
どなたが言ったのか
定かではないが

もしや
大の
ニンジン嫌いがいたのかな

それとも
それをした頃に
嫌なことがあったのかな

本当が分かる術はなく
それでも
やはり
本家の長男としては
それらを守らねばならないし

また
おじいちゃんも
親父も
それらを守って来たのだろう

確かに
ホームセンターに並ぶ
ケイトウの花を我が家では
見たことがない

それに
家庭菜園好きな親父も
ニンジンを作ったことがない

それらは
僕の代で息子へと伝えなければ
ここで終えてしまうけれども

はてさて
どうしたものか
軽く伝えとこうかな

それとも
知らぬが仏
伝えなくて良いかな

それよりも
もっと増やしてやろうかな



そう
僕もまた
何かを残した方がと思うのならば

僕の落書き500枚
これは家宝として
残して置くように… だなんて

そんなことは
厄介がられるだろうから
即座に
ゴミ処理されるかな

ならばやっぱり
個展でも開いて
お好きな方に配ろうかな