ここに越して来て
はや 30数年

いつの間にか周囲の環境は変わり
また
お世話になったご近所さんも
世代が変わってしまった

今年もまた
ご近所の
オジちゃんと
オジイちゃんとを失った



振り返ると

まるで短編小説の中にいたような

目まぐるしくも早く訪れた

読み終えたような時間


仕方なくも
毎年
墓参の場所が増えて
毎月
どちらかで手を合わす

その都度
多くを思い出し
伝わるようにと話し掛けるが
もちろん
戻る言葉はない

それでもすでに
戻るはずの言葉は分かっていて
自分の中で
そっと処理をする



昨日もまた
通り掛かったそこで
素通り出来ずに手を合わした
ご近所のオバアちゃんの公園墓地

すると
受付の方から
来月 納骨の予定ですねと言われ

えっ? と驚き尋ねると
施設にいたオジイちゃんが
亡くなったと

知らなかったと嘆きながらも
家族だけでの
そんな時代なのかと
触れぬことにした

そう
近所の公園前のお宅の
オジイちゃんと
オバアちゃん

いつも公園の手入れをしてくれて
それは綺麗な公園だった

園芸の仕事をしていたそうな
オジイちゃんは
その公園に
50本もの桜を植えたそうで

今では
桜で有名な公園にもなって
春先には
多くの方々が見上げ
花見をするまでとなった

やがてまた春が来て
桜の開花する頃には
多くを思い出しながら
公園に佇むのだろう

そう
まるで自分の庭の如く
勝手に植えたそうな桜は
これからも勝手に咲くのだろう

美しい未来を残してくれたことに
感謝しながら…




いつか

ぱふと見上げた頃を

思い出しながら…

ありがとうございました
そして…
それから…