永ちゃんは言う
あの頃は… って
僕らも言う
そうでしたね… って
そう
キャロルから50年
紛れもなく
追い掛けて来た時間は
それぞれに濃さは違えど
同じだけ過ぎて
リアルタイムで過ごした時期は
若さを呑み込んで
記憶は美化され続けてもいる
時間は止まることなく
刻々と進み
それに抵抗しても
無駄だと気付いた時は
後戻り出来る術はなく
今も
カウントダウンは止まらずにいる
さて
超満員の武道館
やっと取れたチケットは
スマホの中で常に変わるシステムにより
すべてのダフ屋を排除した
会場では
皆 フェアに取ったチケットで
今か今かと
待ちわびている
それでも
コロナ禍が開け
規則を無視して
皆
永ちゃんコールが始まった
ウェーブも起こっている
この日を待ち侘びたと
皆 笑顔でいる
ならば良いじゃないか! と
僕もまた
永ちゃん! と叫び 加勢する
74歳のスーパースター
あとどのくらい? と
皆が思う
そんなことは
誰にも分からない
でも
そうなると
この会場に集まった連中は
皆 路頭に迷うことになる
そう
これで年を越して来た僕らは
どこへ行けば良いのだろうと
ふと思いながら
今年もまた武道館を後にする
永ちゃん
俺たちはもう一度走れるだろうか
20年ほど前
NHKで
そんな
ドキュメンタリー番組があった
永ちゃんによって
救われた若者たちの特集だ
勝手に想い
勝手に背負い
勝手に感謝する
それでも
良いじゃあないか
長年 羽織り
長年 投げて来た僕のタオルも
そろそろ
やれた来たようだ