山では何度も遭難した
いや
渓流での遭難ばかり
フライフィッシングで
山奥へと入り込むと
いくつもの堰堤に遭遇する
低い堰堤ならば
乗り越えることが出来るけれど
高い堰堤ともなると
乗り越えられない
しかし
見えないその先には
きっともっと
綺麗な魚がいるはずだと
なんとかその先へと行きたくもなる
すれば
横からと思うのが常
そう
1度山林へと入り山を登り
また川へと戻る
すれば
堰堤を登ることなく
その先へと… なはずが
山林へと入ったところで
迷子になり
同じ場所を何度も彷徨うこととなる
そうだ
まるで山の獣たちに
バカされているかのように
そうだ
ヘンゼルとグレーテルのように
来た道にマークをしておけば
そこを戻ることが出来るのに
そんな術はなく
遭難する
そんな時は
慌てずに
川の音を頼りに川に出て
川を下って行くしかない
山の中の
林の中には
珍しいものが目に付いて
食べたら危なそうなキノコと
毒々しい花
それから
水溜りには
驚くほど沢山の山椒魚に
カエルに
蛇に
猿や
鹿なんて
普通にそこにいる
ラッキーなことに
熊には今まだ出会ってはないが
大きな岩が熊に見えることもある
熊避けの鈴を鳴らし
ラジオを掛け
爆竹や
鉛玉のパチンコまで持ち歩いた
スタンガンを買おうと思ったけれど
そんな接近戦
先にやられてしまうと諦めた
時折
山人たちと話をすると
龍を見たとか
天狗を見たとか
タヌキやキツネにバカされたなどと
真面目な顔で言うもんだから
なんとなく
嫌な気配を感じた時は
その先へは行かず
引き返すことにしている
若い頃から山登りをしていたら
きっと今頃は
100名山も終えて
そこそこの経験値を持って
海外や
更なる楽しみを…
なんてことはなくて
その齢には
その齢の遊びがあり
老いてからでは出来ないものばかり
そう
若い内は 海へ
枯れて来たら 山へ
更には
そこそこの人生経験を持ってこそ
感動出来る風景もまたあって
決して頂上に立つ必要はなく
頂上でも
8号目でも
さほど変わらない風景が観れる
それよりも
無理することなく
ゆっくりと自分のペースを守り
それぞれの季節が表す
目の前の風景の中にその身を置き
笑顔で出掛けて
笑顔で戻るってことが
本当は大切なのだなあ
そんなことだよ ご同輩…









