寒さが苦手なこの男は
まさか
雪山へと登ることはなく

そう
仕方なくもリフトで上げてくれる
スキー場だけなわけだけれど

それでも昨今は
何本か滑れば
お茶しよう! なんて
ロッジに籠り
もう良いかな ってな具合 笑



先週で
涸沢も閉じたという頼りが届き
いよいよ
冬へと突入した北アルプス

わずか1ヶ月前に
紅葉だったそこは
すでに白一面となり
長い冬が訪れた

山小屋も閉じ
スタッフたちは全員下山して
もう誰も居ない

ここも一種
夏だけの街で
短い春と
短い秋とに挟まれた
わずかに賑わう山人たちの街

それも
自分の足でしか辿り着けない
別天地だから
本気モードの方々しか
観ることの出来ない絶景

還暦も過ぎれば
あと何度? なんて
おおよそに数えてもみるが

花見と大きく違うのは
そこそこの装備をし
多くの時間を掛け

自らの体調と
天候との中で
チャンスを探りながらの
限られた時間内での
ほぼ1発勝負



今シーズンは
転じて福となり
まさかの雪は
寒さに耐えた後
20年に1度の三段紅葉を
観せてくれた

それもほんの数日で
姿を消し
獣たちは眠りにつき
僕たちは下界に戻る

そんなことの繰り返しは
過去から未来へと
永遠に続くのだろうけれど
そこへと
心を寄せる世代は
仕方なくも徐々に入れ替わり

それでも
1度でもそこに立った方々の心には
最期まで
その風景は残るのだろう


街へと戻れば
街の顔をするけれど

季節が変われば
また山人の姿へと
戻りたくもなる

そうだ

昨年 再会した女友達は

子供たちも巣立ったからと

55で早々にリタイアし

旦那を置いて

ひとり

毎年 夏のシーズンには

北アルプスの山小屋を

手伝っていると微笑んでいたっけ


僕もリタイアしたならば

その夏
どちらかの山小屋で
使って頂こうかなあ