先月の芸協祭で
受付にいた鯉白さんに
最近
どうして髪を伸ばしてるんだい?
と訊くと

ロックが好きで
それも古いビートルズあたりがと
返って来た

とてもそんな齢ではなく
彼らには懐メロなはずが
でもならばと
もしやジョンは? と訊いてみた

すると
そうです
そこですと 返って来て
嬉しくなって

僕ね
ジョンに会ったことあるよ と
話してみた

えっ?
おいくつでしたっけ? なんて
言われ

還暦プラス2 と…



18の夏に
そう
ジョンが撃たれる前の年に
軽井沢の旧軽銀座で
ジョンとヨーコが
ショーンを乗せた自転車を押して
歩いて来たと…

やっぱり
軽井沢にいたんですね

そう
日中は
万平ホテル近くのヨーコの家の
別荘にいて
夜は
万平ホテルだったようで…

セキュリティですかね?

多分ね



そうそう
ならば次回
草津らくごに
週末に出ることがあれば
そのタイミングに合わせて
僕も行くから
その翌日にでも
軽井沢でのジョンの足跡を
一緒に辿ってみようか? と

良いですねえ
確か 立ち寄った多くが
今まだ残っているらしいですね

そうそう
喫茶店
熊野神社
見晴台… なんてね

そんな約束してはいるが
なかなか
お互いのタイミングは合わず
さて
いつになることか… 笑


僕の中での
ビートルズはジョンで

ポールでも
ジョージでも
リンゴでもない

ブームとやらは
ある日突然 戻って
今また
なぜか ビートルズ

どうやら
音楽のすべてはここにあって
ここを越えることは
出来ないらしい

ブームは
ある日突然 やって来て
ある日
気が付けば 去っている

もちろん
長いことここに
とどまっていることもあるが
わずかな時間で
去ってしまうことばかり

それはまた
バイオリズムのグラフのように
いつかまた波は高まって

すればすでに
到達していた位置から
更に上へと熱は高まる

それが

僕の中での ビートルズ


そのきっかけは
もちろん ジョンで
ジョンのポスターは
常に3枚
我が家の廊下に掲げたまま

いつかまた
戻るかと思いながら
長いことそこに

雑誌も
棚に放置されたまま
取り出すことなく
レコードもCDもビデオも
棚の奥の方に

軽井沢で見掛けてから
44年もが過ぎて
あの頃
きっとまた会えるはずと
ぶらりした夏の避暑地

ならば
翌年もと探したけれど
その冬に
帰らぬ人となってしまった

そこから
多くの情報を聞き集め
ゆかりの地となった
あちこちを勝手に巡り
涙しながら諦めた夏

それでも
思い出したように
時折 出掛けた軽井沢では
素通り出来ずに
いつかのそこをぶらりする

でも
もう
それだけを
自分の中で処理しただけで
どなたにも
カミさんにすらも
一切 発信しないで来た


それが
どうしたことか
昨年の夏

なんとなく
黒姫からの帰りに
お茶でも なんて
立ち寄ってみた森の喫茶店

そこで
先に席でお茶をしていた
家族連れ

何も知らずにはしゃぐ子供たちと
その若い親夫婦

ところが
1人様子の違うオバちゃんがいて
そう
その孫たちのお婆ちゃん

1人
テラス席の奥の隅に座り
黄昏れたように外を眺める姿
やはりジョンかと

ならば
その隣りの席にと座り
声を掛けてみた

そこ
ジョンの席でしたね

えっ? って驚いて
微笑んで
そこから長話し

昨日 来たら
臨時休業で
今朝 帰り際にまた… と

ならば
外のあの小屋へもと
お誘いして
これまたジョンの席で
パチリ…



そう
今まだこうして
ジョンの足跡を追う方々が
絶えず訪れると聞いて
嬉しくなって

では
ならば僕もと
久々の見晴台を目指し

今まだ残る
ジョンのベンチで
パチリ



すればまた
熱さはブームは戻って
あの頃 勝手に
ねこ踏んじゃった を弾いて
注意された万平ホテルの
ジョンのピアノにも…

ひとつひとつ
そっと鍵盤を叩いて
すでに
調音のズレた音と

剥がれた鍵盤とを確かめながら
このピアノ
ジョンが欲しがった意味が
なんとなく
分かった気にもなった



そういえば
最近
ヨーコが
ダコタハウスを出たそうだ

それがどうした? と言われても
それは
よほどのことだとしか
申せない


ジョン


また時代は
ひとつの幕を閉じようとしているが
また時代は
巡り戻ろうともしているようだ


あの夏

ジョンに会えて良かった…