実家の近くの神社には
善次郎たちが納めた
神道無念流の奉納額が

本殿内に飾ってあって

150年もそこにあったのに
今頃
それに気付いて
その足跡を追うこの男




大きなその額の
筆頭に書かれたその男は

200人もの門弟を構えた
5代前の先祖で

新選組の前身
浪士組に参加し

近藤 土方 沖田… らと共に
京都まで勇んだ男

今頃
その足跡を追う物好きなこの子孫は
もしかして
還暦を待って気付くように
仕掛けられていたかのような
時限装置とすら思い
一族の中で選ばれたのかと
多くを歩き周る

昨年末
そんな奉納額があることを知り
伺ってみた その神社

カクカクシカジカとご挨拶をすると
ここもまた
僕が来ることを知っていたかのように

待ってましたとばかり
ご丁寧な説明をして下さった宮司さん

先日
その神社から招待状が届き
毎年恒例の 藤祭りの際
神道無念流の剣術奉納と
その演武があると

ならば出掛けるでしょ!
ってわけで
親父を誘ってみた今日


残念ながら

今年は季節が急ぎ足

藤の花はそろそろ終盤

それでも

人々は笑顔で集い

神前で手を合わす



多くの剣士は集い
初めて観る 神道無念流
その代表の方と
カクカクシカジカとなれば
長話ともなる






更には
昨年 実家へと見えた
新選組の歴史学者の方も見えて
新たな発見があったとの
報告を頂いだ

それは
まさかの
善次郎の作った短刀が見つかったと

そう
善次郎は道場主でありながら
刀鍛冶でもあったそうで
その掛け軸が実家に残っている

それは確かに
祖父の代まで鍛冶屋だったから
間違いないのだろう

しかし
庶民が刀を持てなくなった時代
我が家のそれらは
すべて破棄されたらしく
今 何も残ってはいない

そんなことを知った
その歴史学者は
昨年 あちこちと周り
善次郎が刀を納めていた
大名の子孫を訪ね
そこからわずかな情報を頼りに
見つけ出してくれた



本日
その短刀を持参し
これですと見せてくれた

もちろん本身の銃刀法物
心して手にしてみたが
やはり武器

しかも
それは借物ではなく
手に入れて来たそうで
我が家に戻してくれると言う

更には
多くの武道家たちが集まった今日
刀剣店主もいて
刀の目利きと相成りました

さて
後は親父の気持ち次第
戻して貰ったならば
銃刀法の届け出と
それなりの保管が必要となる

簡単な気持ちで
仏壇へと備えるだけでは
難しいようだ

しかし
そんなことが発覚してから
わずか1年

僕もまた
東へ西へと
その足跡を辿っているが

恐ろしいほどの とんとん拍子
やはり
すべては善次郎が仕組んだ
道案内のようだ

さてこれは
まだまだ続きがあるようで
先々に待つ
何かと 何者かと… が
本当の答えを
持っているのかもしれない

僕の持ち時間の中で
間に合うと良いけれども…