沢山の約束して来たでしょ?

デートに
食事に
待ち合わせに

婚約に
結婚に

守った約束
破った約束
守れなかった約束

親と
友達と
彼女と
カミさんと

夏の
海の

冬の
山の

島の
旅先の

年上の
年下も

呑み屋の
キャバクラの

なんて…

若さゆえ
さほど大事じゃなかった約束

けれど
なんとか守ろとしたけれど
守れなかった約束

今朝は
そんな夢を見た



時は
70年代の夏

場所は
鵠沼海岸

僕らは
授業を抜け出して
毎日 波乗りしてたガキ

沖でボードの上で
長いこと波待ち状態

時折 波は来るが
隣のやつに先を越され
その波を掴めずにいる

気が付けば
西へと流され
陸側の景色は変わっていた

仕方なく
そろそろ上がるかと
相棒と海岸へと戻ると
目の前に
それは綺麗な娘たち

とっさに
可愛いね なんて
声を掛けたのは僕

後から上がって来た相棒は
お前 またか という顔をする

それでも
あまりの美しさに
相棒もまんざらではないらしい

近く? なんて訊くと

ええ なんて

辻堂?

いえ 茅ケ崎

隣じゃん
良く来るの?

初めてよ

海側? 山側?

ラチエン通りって知ってる?
そこよ

サザンのね
あそこはエボシ岩が見えるね

そうよ
真っ直ぐ

じゃあさ
今度 エボシの前に入るから
来ない?

そうね
考えとくわ


翌日
僕らはエボシの前で
チャポチャポ

すると
防風林を抜けた砂浜から
手を振る彼女たちがいて

おい
マジか
上がろう って
翌日に再会

僕らは大学に入ったばかり
彼女らは
なんと社会人だと言う

4つも年上とは
驚いたけれど

10代の終わり頃は
皆 年上の女性に憧れる

今夜
パーティーがあるの
ウチに来ない? なんて誘われ

行く行く! って僕ら

早速
相棒の辻堂のアパートに帰り
着替えると
バイクで向かったラチエン通り

海側から昇って行くと
左手にはすぐに
開高さん家

ちょいと
バイクを置かせてもらって
わずかに歩くと
右手に豪邸が見える

ここだな なんて
ピンポーンではなく
ドアをノックなどして

出て来たのは
矢沢さん

そう
永ちゃんの娘たちだった

こりゃまずいよ
手も足も出せないなんて
たっぷりあった下心は
すっかりしぼんで

ごめんね
ちょっと用事が出来たと
その場を去った

残念ね
じゃあまた明日! って
言われたけれど

そんなわけに行くかい? と
相棒と逃げるように

それからはまた
鵠沼へと戻り
チャポチャポ

すると
またあの娘たち

ねえ
なんで来ないのよお なんて

断ることも出来ず
では明日ね なんて約束などして

そう
僕らは明日からLA
マリブの海岸で
金髪娘たちとよろしくやる予定

知らん顔して
成田から立つと
LAの空港で待ってた彼女たち
しかも
リムジンで!

なんじゃそりゃあ? なんて
逃げるように
安物のレンタカーで

するとすぐに
追い付かれて
降りて来た 永ちゃん

おい
娘がお前らに惚れたってよ
嫁に貰ってくれ!

断ることも出来ず
はい! なんて返事をした相棒

僕はそれでも
NO! と叫んで逃げた逃げた逃げた

でも
ヘリで追い掛けて来て
捕まって
ベガスへ連れ去られ

ウエディングベル!

その直後
永ちゃんは倒れ
間際にに
約束してくれ
娘たちを幸せに頼む なんて言われ

うっかり
うなずいてしまった

すると次の瞬間
矢沢になって舞台にいる僕

ルイジアナ! と歌い出すと
武道館全体の客は
タオルを投げ上げ

テネシー
シカゴ
遥か カンザスシティまで…

なんて歌ったところで
目が覚めた


さて
今年ももう
年末の武道館のチケットの
抽選が始まった

昨年
150回を目前に
体調を壊し
達成出来なかった武道館

その150回のチケットは
どうやら取れないようだ


昨今
毎朝
夢から生還する

大抵はすぐに忘れてしまうけれど
あまりにも強い夢は
直後 メモなどして
こうして残す

矢沢になりたいか? と言われたら
No Thanx と答える

一般で良いのだ
庶民で良いのだ
名を残すことなく
今の時代に消えたいのだ なあ