武道館の前に
わずかに時間が取れて
ならば
泉岳寺かと急ぎ足




今日ももちろん
横川勘平へと
すべての線香を備え
わずかに目を閉じてみる

何かが起こるかと
期待してはみても
いつも通りの義士の墓前
ひと回りし一礼して…




すれば
もちろん
わずかに足を伸ばしての
吾郎さんへと

わずかに過ぎた命日を詫び
手を合わし
通り過ぎた住職にご挨拶して…




若い頃
多くの方々にお世話になり
斜に構えた姿は今
真っ当に生きている

ゴローズの原宿は
もう僕らの街ではなく
すっかり入れ替わってしまった
違う人種たちとなり
僕らはすでに異邦人

わずか45年
昭和は
平成となり

更に厄介な令和となった

あの頃って
振り返ることばかりの昨今
不便さは逆に
幸せだったようだ

便利さと引き換えに
失ってしまった多くのことを
取り戻せやしないのだろうかと
いつも嘆くけれど
時間は止まらず先へ先へと
更に加速する



吾郎さん
あの頃は
良かったですねえと呟き
あの日 
作ってもらった財布を置き
今もまだ…と感謝する



そうそう

大事にしていた
吾郎さんと同じ愛犬 ぱふも
そっちへ行ってしまいましたと

帰り際に振り返り呟いてみた



わかったよ! って

聞こえた気がした…