落語の中では
さんまは目黒に限る なんて
オチの付いた噺

そう
脂が乗ったさんまが
やはり秋の美味で
大根おろしと生姜とで
焼き立てを まいう〜 ってな季節
だったはずが…



それが
昨今 高級魚となり
そいつは困った

ならば 
鮭でと思うけれど

さんまとアジだけあれば
足りたはずのこの男

そう
高価な魚は必要なく
時折
頂き物のノドグロを食べても
さほど美味いとは感じず
脂が多いなあ… なんて

ましてや
トロよりも
赤身が良いだなんて
昨今 心変わりなどして

更には
やっぱり本当は
サバだよなあ なんて

齢かな
齢かもね…



時折
金沢や釧路やらの
観光市場へと出掛けても
決して安くはなく

そりゃあ
それなりのカネを出せば
美味いに決まってるなどと
意見を申す

新鮮ならば
それで良し
特別なものは必要なく
普通のもので良い

そうそう
昨今
しらす丼などか美味だと笑い
生姜と青じそとを掛けて
まいう〜  なんて…

齢かな
齢かもね…



殿様たちは

庶民の食すものとは

違うものを食べてたのだろう


さんまもそのひとつで

本当に美味いものを知ってたのは

庶民だったのかもしれない


田舎町の借家街育ちの僕は

昭和に於いても

そんな庶民のど真ん中だった


朝には

納豆売りが来て

豆腐売りも来て

どんぶりを持ち

お使いに出されたもんだった


夕方には

どこからともなく

魚を焼く匂いと

煉炭の香りとが漂って来て


ご近所さんは

ちょっとお醤油を

ちょっとお味噌を… なんて

貸し借りのあった町


斜め向かいの鋳掛屋のオバちゃん

お隣の飴屋のオバちゃん

銀座通りのダンゴ屋のオバちゃん

それから

それから…


懐かしい笑顔は

今もここにある


昭和は遠くなりにけり

平成すらも遠ざかる今

令和はどんな世の中に…


浩宮くんより少し若いから

大事に生きたら

次の世も

見れるかも

しれないけれど…