いつもなら
取れないチケットが
今まだ こんな世の中

コロナに不安だと諦めた
いつもの年配のファンたちが
来るのを辞めたが為
わずかに余ったチケットがあり

それゆえに
いつもは取れないのに
今回は取れたと微笑む
まさかの 初めての方々




そう
ほとんどがファンクラブで
終わってしまうチケット

減ったとはいえ
3日に1度以上のコンサートは
キャパ1000〜3000ものホールが
常に3階席まで満席で

時々 コンサートを開く
他のアーチストとは遥かに違う
異次元の集客力

なんせ
そのファンクラブの会員数
ジャニーズを軽く凌ぐというから
凄い凄い凄い!

昨晩で
なんと
4547回もだそうで

数年の内には
5000なんていう
前人未踏な
いや
後人も辿り着けない
記録を打ち出すのだろう

その内
何度そこへ座ったのか
数えてみながら
あの頃って時間を振り返る

もう会えない多くの友と
今まだ隣りで微笑むカミさんと
新たに増えた知り合いと…

僕らのチケットは
もちろんファンクラブからで

そうもしないと
取れないから
皆 
脱会することはないのだろう

確実に取れるチケットは
そこそこの席が約束されて
年に数回
お近くに来たときにだけ
お願いする

セロ弾きのゴーシュ


昨晩もまた
あいつのギターピックを
ポケットに押し込んで

約束通り
連れて来てやったよ なんて
呟いてみる


すると
ありがとな! なんて
聞こえた気がして

お前のおかげだと
また 呟いてみる

そんなことは
今まだ
カミさんにも話してはないが
それで良いと思っている

こうせつにも
陽水にも
千春にも
みゆきにも
あいつをそっと連れ出した

でも
返事が戻るのは
ここだけで

そう
戻った気がするのは
ここだけで…


昨晩も

ご一緒した
例の警察官の娘さん

お会いするなり

主人公が弾けるようになったのよ と…

そう
ギターを習い始めたと
半年前のコンサート会場で
お聞きした



ならばと
財布を探り
ギターピックを差し上げた

これで
いつか聴かせてね なんて

喜んでくれたようだ


こうして

若いファンへと

繋がっていくことが

嬉しくて仕方ない