本来ならば
今頃 奈良にいて
東大寺 二月堂で
特別な大松明を見上げていたはずが

なんとしたことか
相変わらずな世の中
この日 12日だけは
一般の観覧を禁止してしまった




そう
3月1日から14日までの行の中で
この12日は
ひときわ大きな松明を出し
また
お水取りの儀式もある

それが
数年に1度
週末と重なったならば
人々は一層多く集まり
二月堂は賑わう

ならば
今年こそはと
昨年から宿を押さえていたけれど
残念なことに
この日だけ
一般の観覧を禁止すると言う



ご近所ならまだしも
こんな遠方からの旅は
早い内に決断せねばならない

仕方なくも諦めた今年
来年にはまた
日常が戻ることを願いながら…


10年ほど前
ひとりで出掛けたそこで
偶然 出会った方に
外陣まで入れて頂いた

暗闇の中で
南無観世音は唱え続き
松明の煙と匂いとに包まれ

目の前では
選ばれた僧侶が
五体投地を繰り返す


女人禁制
局との狭間は格子で仕切られ
それでも
一般の男が入れる限界の場では
過去帳を読み上げる声に
青衣の女人を聞き逃さぬようにと
耳をそば立てた

おかげで
多くを観ることは出来たけれど
この行あってこそな春の到来なのだ



こうして
多くを語り
多くに知って頂きたいが

修二会に参加した者と
参加しなった者との差は
いずれ出るのだろう


気が付けば
あと2日で行も終わる

するとまた
1年を待たねばならない

ではと
思いながらも
この人生
あと何度かとも
おおよそを数えながら…



そして

選ばれし練行衆たちの

無事な完走をも

心から願いながら…