まずはこの寒さ

雪にならなくて良かった


しかし

こんな世の中

あちこちで中止や延期とは…




成人式には
良い思い出などない

すでに
記憶もあやふやな40年も前
当時
渋谷にいたけれど
なぜか実家の町でと選んだ

もちろん
羽織袴姿でと意気込んでいたのを
直前に
スーツに変えた

それも
ダブルではなく
シングルへと

そう
面倒な連中との縁を切るが為に

ならば
行かなきゃ良いのに
会いたい方がいたから…

中学の時の憧れのキミ

今更
どうしたいわけでは ない
どうなりたいはずも ない
何かを伝えたいわけでは ない
何かを訊きたいはずも ない

ただただ
今を知りたかっただけ

そう
今の姿を見たかっただけ

まさか
あいつに…

もしや
あいつも… なんて

横取りされてはいないか なんて


そのマドンナには
多くのライバルがいて
生徒会長から
主席卒業や
医者の息子に
ラーメン屋に
八百屋に
文房具屋に…

それから
斜に構えた出来の悪い僕らまで…

なのに
誰も手を出せず
卒業したはずの中学

それ以来
僕はその町を離れたから
その後は一切分からない

会場に入るなり
おお! と
やあ! との声

一瞬で
あの頃へと連れ戻され
あの頃の話に花が咲く

でも
そんなことよりも
視線は晴着の女性たちにロックオン

どんなに探しても
見つからない

まさか
もしや なんて

すると
部活のマネージャーだった
彼女が来て

みんな揃って
何よその顔…

あー
やっぱり
あの娘 探してんだあ

ズボシだった

あの娘ね
嫁に行ったよ

えっ?

知りたい?

ああ

どーしよーかなー

ええー

あの娘ね
もうお母さんよ

マジか…

確か
旦那さんは
イギリスの人

そうか…

言葉は
そこまでで終わり

ならば
もう成人式に用はないと
式典が始まる前に帰ったのは
僕ひとりだったのだろう



元気ならば
もちろん還暦

そして
40にもなるハーフの子供がいて
更には
成人式でも迎える
孫までもいるのかもしれない

憧れは憧れのまま
再会することなく
あの日の姿のまま
記憶に残すことにした

ただ
それだけのことを
毎年毎年
この日になると
思い出す