特に
この日 街は混み出し
皆 どちらへ? なんて
思いながら…

すでに
我が家から遠ざかってしまった
クリスマス

それでも
ケーキくらいはと
小さなものを食べて
わずかな贈り物で微笑む

幸せを確認するが為なのかと
ふと思いながらも
多くを振り返ることばかり

あの頃って場面は
やはり楽しかったのだろう
いや
楽しかった頃を
あの頃と呼びたいのかもしれない


彼女とは
地球の表と裏とで
会えずなあの頃のクリスマスは
ならば
盛大にパーティーでもと
多くの仲間たちを集めた

そう
そこで騒いで
ただ楽しければ良いと
店を貸り切って

すると
後日 必ずカップルが出来て
結果
家庭を持ち
今 孫までいる彼ら

そんなことで
時を紛らわせたけれど
会えないと言うことは
心を遠ざける

無理をしてでも
会いに出掛けておけばとも
思うけれど

そんな糸は繋がることなく
結果は
同じだったのかもしれない

そう
ネットも
携帯も
ましてやスマホもない時代

思い切って
KDDIを通し電話を掛けると
この国とは違った音のベルが鳴り
ハロー って聞こえた瞬間
聖徳太子1枚が消えた時代


今日
届いたキミの手紙は
1週間も前のキミの気持ちで

急いで折り返した
僕の気持ちが届くのは
更に1週間も先

気持ちはいつも揺れ動いて
表情ひとつ確認出来ない時差の渦に
呑み込まれただけ

それが今では
手のひらの中のスマホひとつで
しかも無料で
地球の裏側とでも
テレビ電話が出来る

わずか40年
されど40年
多くが
大きく変わり

更にまた40年も経つと
瞬間移動すら出来るかも? なんて
想像を超える時代が
来るのかもしれない

あの頃
確かに欲しかったのは
ドラえもんのどこでもドアだった

それもまた
空想の物では
なくなるのかもしれない

しかし
現代は
それでも
この便利さと引き換えに
大事な何かを失くしてしまった

わずかなトラブルで
待ち合わせに遅れ
連絡が取れず
別れた関係もあっただろう

それゆえに
約束事が大切だった頃

10円玉を沢山握って
公衆電話から
彼女の家に電話を掛けると
彼女に繋がる前に
お袋さん
親父さんと…
大きな関所まであった頃

親父さんが出ると
ハイ! と
こちらで直立不動などして…


ブレンダリー


それが今なら
いつでもダイレクトに
本人へと繋がる

もちろん

あの頃それらがあったならばと思う

そう

間違いなく便利なのだ


しかし…だ

そう

しかし…なのだ


そんな気持ち
わかるかな…
わかんね だろな…